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結局ずっと食べてからの、宿屋で睡眠であったのだが……
本当にいつまでも夜な訳で、起きても爽やかな気分では無いのだ。
「キラー君の爽やかな気分が、私にはあまり理解出来ない。どうせ、近くに女の子が居ないと…ってやつでしょ?」
彩希の言葉に、いくみが頷く。
「異論も出るわけでも無く、キラーにしてみれば図星だったみたいだねぇ〜」
朝から桃が嬉しそうに僕の顔を覗き込む。
いや、可愛いから許す!!
「まただ…これが私だったら、目を逸らすのよ…」
朱音がまたそんな事言うと、話しが拗れるって!!
「大丈夫だよ!キラーちゃんが朱音の事を苦手なのを全員が知ってるから!」
あの……
いくみさん?
その事案なのですが……
「みんな知ってる事にいちいち言い訳を作っても虚しいだけよ…」
すずか迄これを言い出すと、僕としては大人しくするしか無いみたいだ。
「ほら!そろそろ川に着くから、気を引き締めて!!私の事を苦手にしてる、キラーも!!」
朱音〜
最後の言葉は要らないって!!
「あまりうるさいと、家来に川に落とさせるわよ!」
彩希さん?
家来って…ハカセと、羽角を……
「あっ!間違えた!!部下に……」
彩希にとんでもない事言われてるぞ、二人共!!
「今はしょうがないよ…軍師彩希に言われた事をやれば、敵にも対応できるんだから。」
おい!ハカセ!!
そんなに……
しかも……軍師にしちゃってるし!
「昨日、ハカセさんと二人で考えたんですよ、彩希さんは僕達の軍師に決まりました!!」
羽角が嬉しそうに彩希の顔を見る。
「軍師って何?戦闘の時に指示だけ出すんだっけ?扇子みたいの持って…」
彩希さん!、それはあの有名軍師さんのイメージの事なのかしら?
別に扇子持ってとか要らないから…
「そうよね…服装も格好悪い記憶しか無いしね!」
彩希……
完全に一個人の軍師さんをディスってるだけにしか聞こえないぞ!!
「大丈夫よ!あの人はあの人で人気あるんでしょ?私は可愛さで勝っているから!!」
彩希の言ってる事が、全く可愛いとは思えない……
「いつもならもう何かしら出て来てもおかしくないのにね…」
ふと、朱音が現実に引き戻した。
「ほら、まだ乾いて無いから…此処で何かあったのは事実みたいよ…」
足元にある血溜まりを、いくみが発見した。
「あっ!キラーちゃんは見ない方が良かったんじゃない?」
いくみさん…
既に僕は両手で鉄パイプを持っておりますので、今この場で腕相撲とかはできません!!
「相変わらず血に弱い人ね…何で血を見たら握力無くなるのよ……」
彩希……
僕の弱点はそれだよね…
本当に弱いや……




