216
「アイツを倒したって事は、相当な実力者って事で宜しいのかな?」
暗闇から男の声が響く。
「そうね、姿を見せない人よりは実力者なんじゃないかしら?」
彩希が相変わらず強気な返事をする。
「ハハ!姿を見せない私は確かに実力者ではないよ!!上手く言ってくるものだ。」
まだ姿を出さない。
普通言いながら出て来るパターンだと、僕は思っていたぞ…
「キラー君、そんな事はみんな思っていたのよ…普通出て来るじゃない。って事は、よっぽど強いか…相当弱いのかのどちらかでしょ?でもなぁ…何処に居るのか声が響いちゃって分からないのよね…」
いくみも同じ考えだったから、良かった。
さて、本当にですね…
普通出て来るだろ?この空気感……
「残念ながら、今の私一人では君達に勝てる自信は無いのでね…次回は味方を連れて来るのでそこでご挨拶をさせてもらうとして、今は黙って去っても良かったのだが、それでは悪いかな?と、思ってね………場所が一瞬分かってしまったかな?では、またいつか、君たちが生きていたら会いましょう。」
足音も何も無く、恐らく気配も無いのだろう。
居なくなってしまったみたいである。
「多分、桃が見ていた場所だと思うけど…」
あっ!なんかそんなニュアンスの話しをしてたよね!
そうか、桃だったのか!!
で、何処を見てたの??
「あのねぇ……多分川の上に居たよ。結構先の方に……人影じゃ無いんだよ…なんか大きい影だった。」
「ちょっと待ってよ!川の上に居たの?確かに電灯が無いから姿を確認しるのは難しいよね!!」
いくみが言うが……
「問題は川の上にどうやって居たのかしら?」
彩希がもっともな質問をする。
「それが分からないんだよね…コウモリだったらさぁ……羽根ついてるから音もするけど、みんなと一緒で音なんかしないし……」
桃?どうした?
「影が不自然に大きい影が、人間みたいな感じじゃ無いんだよのね…」
桃さん?
その人間じゃない何かが川の上に居たのを……
「うん!気配なんだよ…姿を見れた訳じゃ無いから……ついでに相手に言われて、桃が見えてるのが声を出しているのを確認できた程度だから…」
随分といつもの桃とは違う勢いが見られない。
「どうしたの?桃……なんか気になる事でも?」
すずかの問いに、
「うーん……何か気になるけど、説明も出来ない気になる感じなんだよなぁ…」
桃が言ってる事に、勿論僕も分かる訳も無く。
「そんなに気にしなくて、いいんじゃない?私は真っすぐ前しか見てなかったから、狙わられてもおかしくなかったけれど、攻撃して来なかったって事はある程度のルールは守るんだと思うよ!!」
朱音が言う通り、全員確認が出来た感じでは無いのに居なくなっているのだから、とりあえず今は大丈夫なのだろう。
「そうだよね!桃も見ようとして、見えなかったのが気になっちゃって……」
桃が悔しそうな顔をしている。
「そうだ!!帰ってごはんにしましょ!!桃も悔しいでしょ?こんな時はお腹を満たすのが一番!!」
彩希が珍しく普通に戻る話しをした為に、今回は戻る事になりました。
しょうがないよね…