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冷静に朱音が言った、目の前のカニだが……
ゴンッ!!
いきなりハカセが傘型の盾では無い通常タイプの平らな盾で左側のハサミを殴った。
「あっ!効かない!!」
ハカセ……
その盾じゃ硬い殻をダメージ付けるの難しいって!!
「ハカセさん!危ない!!!」
ボーっと立っていたハカセにカニからの殴られていない右側のハサミが襲いかかるところを、羽角が斧で振り払った。
「ハカセ!!失敗した後はすぐに守る事を考えないと!!」
朱音が言いながら薙刀で右側の脚部分を薙ぎ払う。
ガツ!ガツ!!
と音は聞こえたが、ダメージは無さそうだ。
「だいたい、ハカセが最初に仕掛けると、あたしとしては流れが変わるからやり辛いのよね…」
いくみは刀を持ちながら、斬り込む事はしないみたいだ。
「カニのダメージが昨日はあったけど、きょうは今のところノーダメージだからね!無駄に動く必要は無いの!!」
いくみはこんな状況下でも冷静に対処している。
「私はいつも通り、今は無理よ…」
彩希が刀を構えてはいるが、僕としては今回は無理されても困るし……
「あら!キラー君を困らせるつもりは無いわよ。ただ、私としては今の段階で役に立つって事は想像もつかないから、相手の動きだけは注意して見ているわ。」
彩希はそれだけで十分である。
「そんな事より、形勢を悪化させたハカセには後でしっかりとお話しをしないといけないみたいね。」
彩希の言葉に、
「大丈夫!!僕が彩希を守るから!!」
ハカセ……
本当に頑張って守ってくれよ!
「多分ハカセの無駄なアピールは、彩希には響かないよ……」
いくみがハカセに言うと、
「じ、じ、じゃ、じゃ……」
「ハカセ……ハカセが倒せば文句ないんじゃない?言葉に出て来ない様じゃ厳しいか…怪我しないでよ!」
朱音が冷静にハカセを見る。
意外と女性陣は冷静に事を見ているんだよなぁ……
カニって毎回、どうやって倒しているんだっけ??
「キラー君がメインで倒せない時は記憶に無いのかしら?」
彩希が僕を見る…………
本当に自分の事しか戦闘では記憶に無いみたいです。
緊張してそれどころじゃないんだよね…
どうやら、カニとの対峙はまだ続いてしまうみたいだ。