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「問題の川なんだけど、彩希は大丈夫??」
先頭を歩く朱音が振り返って彩希を見た。
「大丈夫よ!昨日が変だっただけみたい。」
彩希はいつも通りの返事をする。
本心は分からないが、昨日の表情とは完全に違うので僕もホッとした。
「大丈夫だよ!何かあればキラーちゃんが隣にいるんだから、しっかりと犠牲になってもらえるよ!!」
あの……いくみさん?
しっかりと犠牲って…
助けるとかじゃないのかしら?
「キラーの隣に彩希が居るから、桃は我慢して羽角の隣なんだよなぁ……」
なんだ?
桃ちゃんは??
それは僕に対する、愛の告白か??
「あっ!!キラー、そう言う感情無いので…」
なんか勝手に、桃にフラレた気分だ…
「キラーさんはよくありますよね…アタシにも勘違いしてましたし…」
なんか小春にまで言われると胸が痛いなぁ…
「キラー君はねぇ…好きな女性って居ないのよ……」
彩希が妖しげな笑みを魅せながら話を続ける。
「キラー君は、自分を好きな女性を好きになるのよ…自我が無いと言えばいいのか?ストライクゾーンが広いと言えばいいのか?」
本当に笑いながら彩希が言う。
「そうだよね!キラーちゃんは………一番好きなのは自分たから!!」
あの……いくみさん??
僕は最低なイメージしか浮かび上がる事が無いのかしら??
「あぁ…なんとなく納得出来るわ…そんなタイプよね……」
すずかが冷静に判断してしまうとさぁ……
確定みたいな気持ちになるのよ…
「良くも悪くも前向きだよね!ついでに私の事は苦手にしてる!!」
朱音が………
これは完全に何か言わないとピンチな……
「大丈夫ですよ!みんな知ってますから。」
嬉しそうに、羽角が言うのだが……
男に言われてしまうのも、悲しい。
「じゃあ、オチもついたし……目の前のカニも倒そうか!!」
朱音さん?
オチって…
と!!!
カニ居るんじゃんか!!!
少しは慌てろよ!!!!
こんな緩い空気からの切り換えは辛いなぁ……