27
朝、無事に起きた。
「大丈夫みたいね。毒はどうなったのかしら?濃厚なキスして私に毒を入れないでよ!」
朝から彩希がとんでもない事言ってるけれど、本当に毒は大丈夫みたいだ。
「いろいろ話を聞いたけれど、這いトカゲの毒はかなり酷いみたい。普通は威嚇して倒さない様にしているみたいだもん。」
いくみと朱音で夜は飲んでいたらしく、情報を仕入れていた。
「キラーの生きてるのがおかしいらしいよ。みんなベテランの人達が驚いてるって。」
朱音もまだ微妙にお酒残っているんじゃないの?って程よく話す。
「私の鉈も不安だったから売店で磨いで貰ったけれど、血も付いていなかったみたい。ベストな切り方だったみたい。」
そうだ、すずかが一気に切り落としたんだった。
「今度はミスしないから、きょうも頑張りましょー」
桃が珍しく勢いをつけた。きょうは泣かないでくれよ。
1階に降りて少し歩くと………
「おいっ!」
変な5人が暗闇から声をかけた。
「誰だっけ?見たこと………………あ~ゴキブリの!!」
いくみが先に気がついたが、以前のゴキブリの脚を横取りしようとした奴等である。
「こっちは指名手配されているからこの階から動けねぇけれど、お前ら見つけたから良しとするわ。全ての武器と食料置いていけや!」
「食料?持ってないし。何なの?」
彩希が言った途端に相手が剣を構えだした。
「なんかヤバいぞ。日暮谷の時と雰囲気が違う。」
ハカセが両手に盾を構えた。
「両手に盾って!コイツ馬鹿なんじゃないの?」
相手の女は2人いるが槍を持っている女が下品な高笑いをしている。
「魔法使いとやら、魔法なんか使えないんだろ?偉そうに魔法使いなんか名乗りやがって!」
まぁ、魔法使えないけどさ、ちょっと脅かすかと僕は鉄パイプを持ちながら前に出てやった。
鉄パイプを上から相手の男の正面でビシッ!と構えた…………??
なんか鉄パイプの穴からなんか飛んだ。
相手の男の額にヒットして、男はそのまま倒れた。
「おいっ!お前何やってる…………!ヤバい逃げろ!!」
倒れた男を抱えて逃げて行った。
「何か鉄パイプに仕掛けたの?額に完全に当たったわ。生きてる?」
彩希が横で見ていて分からなかったか。
「仕掛けて無いよ。振ったら何か出たんだ。鉄パイプの穴から。今、見ても何も無い………」
僕自身手応えもなく振ったら何か出たとの感想しかないのだけれど、あれは何??
「桃が見ていて、何かホースで出した水みたいのだった。ビシッ!って。あれは魔法だよ。」
桃に言われたけれど、僕もそんな感じにしか思えなかった。
ただ言えるのは自分から出たとか出したって気がしない。鉄パイプから出てくる気がする。
魔法使いって名乗ってるけど、魔法使えたらビビるぞ。