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朱音の掛け声にみんなが引き摺られる様に、歩き出したのだが……
「さっきのあの光景から、即座に気持ちがリセットしてくれないわ…」
珍しく彩希が弱気になっている。
「あら!彩希はこんな時にすぐに行けると思ったのに、珍しい事もあるのね。」
いくみがそんな事を思う程、彩希のメンタルならそんな言葉が出たのは珍し過ぎるのだ。
「いつもならね、彩希が嫌がってるのを強引に連れ出すイメージだから、私なんかいくみが言うまで言葉が出なかったし…」
朱音も驚いたみたいだ。
「こんな時はさぁ、一旦帰ってごはん食べた方がいいかもよ!」
まぁ、桃ならそんな事言うと思ったよ…
「……そうね…ごはん食べたら治るかしら?」
彩希が笑みを魅せながら応えた。
然しその笑みもいつもより弱々しく感じた。
「ホラっ!!帰るよ!!」
桃の切り替えしの速さ…
「しょうがないわよね…彩希がそんなモチベじゃ…」
朱音も流石に賛同した。
「本当にごめんなさい。なんだろ?サメとトカゲがあんな事になったのよりも、その後のカニがね…」
彩希がみんなに謝るなんて、そんな事があるのか?とも思うし、まぁカニの件は僕もなんとなく分かるよ…
「早く戻って食べてから、寝れば治るよ!!」
いくみが言う寝れば治るは、僕も思う!!
「で、キラーちゃんの意見は無いのぉ??」
いくみが僕の顔を覗き込む様に見る……
なんだよ、可愛いな……
「えーと……服とか買えば元気出るんじゃない?」
「じゃ、キラー君買ってね!」
あの……彩希さん?
実は元気なんじゃないのか??
自慢じゃ無いけど、ほぼ現金持ってないぞ!!
「私達が管理してるからねぇ〜」
朱音が嬉しそうに僕の事を見る。
「ほらね…キラーは朱音の事は苦手みたいよ…」
すずかが笑う。
「そうなんだよ!毎回さぁ、キラーは私の事を苦手にしてるんだよねぇ…」
朱音に言われたが、多分性格も見た目も凄く良いのに、力強さが僕は怯むんだと……
まぁ、朱音には言えないけど…
「キラーちゃんは苦手な子は分かりやすいから!」
いくみが、嬉しそうに朱音に教えるし…
あまり変な事を拡散しないでもらいたいなぁ…