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「ふぅ…帰って来れた。キラー大丈夫か?」
ハカセがかなり焦りながら心配してくれているが、
「毒って気がしないんだよね。本当に這いトカゲって毒なの?」
いつも通りの体調だった。
「早くその毒なのかを診てもらいましょう。今回も桃が泣きまくっているから私達無駄に目立つのよ。」
彩希が桃の肩を抱きながら僕を診療所に連れて行く。
「先ず、血液検査の結果からですが、全くの正常です。」
医務室の先生の言葉にいくみが
「正常って事が異常なんじゃないんですか?」
「這いトカゲの尻尾の毒は通常で、10分以内で発症して亡くなるのだけれど、既に相当の時間が経過しているのですよ。何も無いって事は今まで前例の無い事で、かなり分からないのですが、兎に角大丈夫みたいです。一応血清の注射しておきましたので大丈夫だと思います。万が一、体調が急変したら無理をしないですぐに来てください。」
結局這いトカゲの毒の血を浴びながら大丈夫という前代未聞らしい毒に抵抗力があったのかと我ながら驚いていると、
「這いトカゲさん、じゃあそろそろ一休みしましょう。」
彩希さん?僕の事這いトカゲって呼ばなかった?
「這いトカゲの毒に大丈夫なら貴方は這いトカゲなのよ。免疫って事で。」
かなり強引でしょ?
「良かった。桃が見落としていたからだったんだもん。」
まだ桃は泣いてる。
「別に桃が悪い訳じゃないの。私達全員で相手の事を把握しないと戦えないって事が分かったし、キラーが無事だったのだもの途中で桃が気がついてくれなかったら逆に全滅だったのかもしれないわ。」
珍しくすずかが沢山桃を宥めるように話している。
「すずかの言う通り今度からは戦いながらでもしっかりとみんなで確認しましょう。キラーちゃん、朝起きたら死んでるとか無しだからねっ!」
いくみが最後に怖いこと言ってきた。