197
コウモリとの対峙を終えて、僕達は結局いつもの様に、街へと戻ってきてしまった。
相変わらずの戦闘をしたら帰る!と、いう毎度の行動である。
最初は道具屋さんからの食事の予定で、一応宿のチェックインは済ませた。
「なんだって!!吸血コウモリと戦ったのか?!」
開口一番に道具屋のオジサンに言われた…
そう、カニのハサミを売却する時に、ふと…いくみが吸血コウモリの羽根って買い取って貰えるかをたずねたのだ。
「相手が偉そうな事言ってたけど、逃げたのよ〜なんか羽根だけでも切り落としておいたら良かったなぁ〜って!」
いくみがそんなテンポで話すものだから、
「アイツの羽根を切り落としたら、相当な騒ぎになるぞ!しかも……誰も怪我してないのか?」
驚いた表情で道具屋のオジサンが僕達を見回す。
「ナイフ投げてきたけど、躱したからねぇ~」
彩希がまるで自分が躱した様に言ってるし…
「そうだ!アイツはナイフを投げて、その傷口から血を吸うんだよ!それで、居なくなる事は多いが…
誰も怪我しないで、追い返せたのか!?」
オジサンの話しで、ようやく血を吸う方法はある程度理解出来た。
アイツでも、そんなに強いと感じなかったよね…
「そうよ!誰も怪我なんかしないし、この娘が……」
いくみが言いながら、小春を前に出す。
「弓矢で、コウモリの羽根に穴開けたのよ!その後、逃げちゃったけど…」
いくみが小春の背中をポンポン叩いた。
「お嬢ちゃんが?そんなに君達強いのか!!イヤイヤ、俺の見た感じ…悪いけど、よくガーゴイルから通してもらった!と、思っていたんだよ!そうか……申し訳なかった!!」
オジサンが僕達に頭を下げた。
まぁ……
弱く見られるのは勿論だよね…
実際弱いもん!!
「ただ………」
オジサンが重々しく口を開く……
「吸血コウモリの羽根は残念だけれど、買い取る訳にはいかないな…もし、ヤツが生存していたら尚更だ…絶対に取り戻しに来るはずだ!」
あ〜
オジサンの言い分は良く解った。
そうだよね…
羽根は恐らく生え替わる訳も無さそうだし。
「まぁ、また別のをみつけたら持って来るかも知れないから、お願いね!」
彩希がちょっと優しそうな表情で言うと、だいたいみんな騙されるね…
同じ仲間の僕すら騙されそうだもん!
「キラー君、うるさい!!」
すぐにバレるのも困るな……
「さっ!いくみ達が買い取りを待ってる間に、食事の座席を確保に行くよ!!」
流石、桃は食事の段取り早いわ……