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さて……
毎回なのだが、相手と対峙している割に全員が無駄な話をしているのだが、実はそれが大切だったりする。
「そんな事思っていても、まだ相手はこっち見てるんだからね!」
彩希が言う通りなのだが、ずっと緊張していても僕達には利点は無さそうなのである。
「個人的に緊張している方が変な事しなくて良いのかも知れないけれど、必要な時に動けなくなりそうだからね!リラックスしながら戦っていた方が良さそうな感じよね!」
いくみがそれでも、今回は刀を新調したり何気に緊張している表情な気もする…
「じゃ、そろそろ始めてみましょうか…」
言いながら羽角が斧をしっかり持ち直しながら、いきなりカニの正面へと斧を叩き込んだ!!
ゴンッ!!
鈍い音が響く。
ちょうどカニの真っ白なお腹部分に斧は当たった訳ではあるが……
「ダメージは皆無ね…」
朱音が言いながら、羽角に向かって襲ってきたカニの左手のハサミを薙刀で振り払った。
「危なかった!!朱音さん、ありがとうございます!!」
「羽角君、お礼は勝ってからにして、今は次の動作を考えて!!」
朱音はこの一瞬で変わる緊迫感に冷静に判断をしている。
色々な場面に出くわすが、戦闘中に必要な即座に判断出来る能力は朱音にはかなり大きな比重がある気がする。
一方で朱音の薙刀ではやはりはらう事は出来ても、攻撃には若干難しい事も把握出来た。
「私の薙刀じゃかわすだけだからね!皆んながしっかりしてくれないと!!」
朱音はそれでも必要不可欠な司令塔でもある。
「あたしの力でもかわすだけだね…」
いくみは斬り込む以前に僕に呟く。
なんだよ〜
さっきの勢いからだと一気に斬り落とすんじゃないかと期待していたのに…
「キラー君、武器を変えただけで一瞬で強くなれるのなら、全員真似するわよ…」
彩希は最初から斬り込むつもりは無いのか…
「私はあくまでも補助しか成り立つとは思っていないから…攻撃陣がヤバくなる時にどれだけ防げるのか?しか、考えていないわ…」
彩希のなんと言えば良いのか…
そんな事を考えているのを普段気が付いていない僕がいた。
「キラー!!僕だってピンチの時はしっかり守ってやるから!!」
ハカセ……
君はたまには、戦闘に出てくれよ……
さて……そろそろ………
って、数分前に思っていた事を再び自分の頭に思い浮かべる……