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戻る時は気持ちが早く戻りたいので、結構トラブルにも巻き込まれたりするのだが、今回は無事に帰還。
「そもそもさぁ、通ったばかりの場所を通るんだから、そんなに敵とか出て来られても困るもんね!」
桃がいつもの様に、食事の時に元気になっている。
「そんな事言ってもねぇ…敵も通るみたいだし。でも、道は通っているから分かりやすいよね!」
朱音は先頭で歩いているので、危険察知能力を十分に発揮してくれている。
「帰り道分からなくなる人も結構居るのが現実なんだけどねぇ…来た道の反対側から見ると分からなくなる人って結構多いよ!」
いくみがそんな事を言っているが、かなり多い筈である。
簡単に迷子になるのはそんな時である。
「私達のメンバーだと、ハカセと羽角君は弱いよね…ハカセは特に朱音に言われてるし。キラー君はバカみたいに道に強いし…」
彩希が言いながら僕の顔を見た。
確かに僕は大丈夫なのだが、バカみたいにってねぇ…バカじゃんかぁ〜
「キラーちゃんは本当に強いよね…後ろに居る割に、全部分かってるのが不思議だよ!あたしなんか前の方に居るからまだなんとかなるけど。」
いくみはタブレットと比較したり忙しいから止むを得ないだろうとも思う。
「道は戻る時は前の特徴があるからなんとかなるよ。戻る時に何もかもが変わっていたら困るけど…昔の探険隊の唄みたいに、人食い沼迄消えていたら困るけど…」
と、僕が言うと、
「何?変な歌。知らない〜」
一斉に言われた…
年齢の違いか……
ゆけーゆけー……
「知らない!!」
全員にズバッと言われてしまった。
「……残念だけど……私、ちょっと聴いた記憶があるわ…」
すずかー!!
思わず、手を握ってしまった。
「あっ!そう言うの求めてないので!」
すずかにしっかりと言い切られた。
いつもの様に食事中は探索中とは全くテンションが変わって、軽くなる。気持ちが相当探索中は重いのが食事中に毎回気付くのである。
「この街中じゃ、自主トレも出来ないから実戦で強くなるしか無いみたいね…後でちょっと武器を見てみたい!!」
急に思い出した様に、いくみか武器の話をした。
装備で気持ちも変われば、それに越したことはないと思う。
「あっ!桃はちょっと食事に集中するので…」
結構食べているのに、今更集中ですか!
みんなそれぞれの思惑があるだろう。
まだ自主トレの成果を出しているメンバーも少ないし…