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不安しかない中での探索だと、なんとなくソワソワして落ち着きが無くなってしまうのだが、先程のいくみのネガティブ発言から僕の頭の中でモヤモヤしているのが自分でも嫌で、結局ソワソワしている。


「キラー君は一つの事に集中出来ないんだから、余計な事ばかり考えて駄目だよね……」

彩希が全部見透かす様に、僕にコッソリと話した。


「いくみは大丈夫よ!私が付いているんだからっ!キラーは勝手に頭が回転してるだけだから……寝れば治るんじゃない?」

今度はみんなに聞こえる様に話した。

寝れば治るって…


無いとは言えないのが悲しい。


「ホラっ!いくみ!!みんなでカニを倒すよ!!」

朱美の指差す先には以前の池に居た時と同じ様なカニが出てきた。


「勿論、今回はあたしもやるよっ!一人じゃ無理だけど!」

いくみ〜

一人じゃ無理かよっ!

まぁ、それは全員に言えるか…


カニは川に向かって居るので、僕達からは横向きなのである。


「横歩きだから、早いかも知れないけれど、ハサミは正面に向いてるから、攻撃するにはちょうどいいんじゃない?」

すずかが鉈を持ちながらその様に推測する。

恐らくすずかは今回も攻撃しない側だな…


「私の鉈が攻撃に本格的に使う時って、相当ピンチの時よ…」

すずかの鉈はそんな時しかないのか…


「距離的に、無理!」

すずかは言い切った。


「いくみ、なんとか脚の一本でも斬れたら納得いくんじゃない?」

朱音が僕にそんな事を言ったが、いくみは自分に納得するのなら、自分のタイミングで動くつもりだろう。下手にいくみにチャンスを作ってあげても彼女はすぐに察してしまいそうだ。


「そうか…頭の良いのも面倒な事ね…」

朱美はいくみの顔をチラッと見てから、僕に言った。


「たまには僕からっ!」

羽角が言いながら斧でカニの右側部分の甲羅を殴りつけた。


ガシュッ!!

鈍い音だが、完全にヒットした。


「羽角君、相当力つけてきたのねっ!」

いくみが言いながら刀をカニに向かって斬りつけた。


カンッ!


軽い音と言えばいいのか……

脚の部分に当たったと思われるが、全くダメージは無かった…


「キラーさん!前と同じ様に!!」

小春が羽角が負傷させた甲羅の場所に弓矢を当てた。


ドンッ!!


僕の火の魔法は前回同様小春の弓矢から一気に燃え上がる。


今回は前回と異なり身体から燃えあがるので、一気に火だるまになった……


が、カニは知ってはいないであろうが、川に逃げたのである。


ジュー!!

と、暫く燃えていたのだが、火は消し止められた。

カニにしてみればラッキーな逃げ場所であった訳だが、流石に野生の勘なのだろう……逃げてしまった。


「あー!やっぱり無理だったかぁ…」

小春は残念そうな顔をして僕を見た。


「小春はちゃんと成果を出していたから、僕の火力の問題だよね…」

僕は小春に、そんな事を言ったが、


「いえ!私が致命傷にならないのが駄目なのです!折角のチャンスにすいません。」

そんな事は絶対にないな…小春はしっかりと役目を果たした訳で…


「いくみ、大丈夫?」

彩希が不意にいくみに話しかける。


「うん!やっと斬り込めたよ!!あれは硬いからあたしには無理だけど、オークみたいの出てきたら斬れるよ!!」

いくみが落ち込んでいるかと思いきや、何気に今回は納得が出来る戦闘だったらしい。


「いくみが納得しているのなら、私もこれ以上色々言う事も無いけどね…要は斬り込めるか?だったのね!」

彩希がようやくいくみの考え方を理解すると、


「そうなの…いつも見ているだけじゃ駄目だなぁ…って……」

いくみがそれで良かったのだから、今回はそれで良かったんじゃないかと……

なかなか個人差があって難しいね……



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