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「普通に全員が起きるって、おかしくないですか?!」
羽角が僕達全員が起こされる前に起きてしまった事にクレームが…
「あのねぇ…ベッドが安眠出来ないのよ…」
彩希が言う通り狭いしね……
今迄と全く違うのがベッドだったのを痛感した。
「通りで今まで羽角君に起こされる迄寝てた訳だよね!寝る場所って大切なのを今更理解できたよ!」
いくみが言いながらテンションが上がっている。
「お会計もしてきたから、街から出てみましょ。今回は入り口とか無いから区切りが微妙だけど…」
朱音が既に薙刀を持ちながらハカセと先頭に立った。
今までなら洞窟の入り口に向かうのだが、既に此方は洞窟の中であり、街の区切りが柵があるだけの単なる洞窟の通路に出来ているエリアなのである。
「ここに居るだけだと、外の空気とか天気が分からないから不安になるよね。」
桃が心細くなる様な事を言うから、何となく僕も不安になる。
「まだきょうは奥深く迄行きそうも無いだろうから、暫くはここを拠点にしないと無理だろうし、無茶は出来ないし。」
彩希がそんな事を言ってはいるのだが、まだ全員が昨日の段階では全員が自主トレの成果をみせてはいないのである。
「自主トレの成果だよね!?きょうは新しい場所なんだから、みんな新しい相手にも楽勝なんじゃない?」
笑顔でいくみがこの緊迫する空気を和ませた。
街から出るといえばいいのか、単なる柵から外側に出た。
ただそれだけの場所なのに、後ろを振り向けば柵があるのに、妙な不安を感じてしまう。
勿論僕達の他にも探索者は居るのだから、街周辺には敵もすぐに出ては来ないと思われる。
「全然場所なんか変わってもないのに、なんなの?この緊張感は!」
朱音の言いたい事は物凄く分かる。
何も敵とかも出てないのに、空気がヒリヒリする様な感じで一言で言えば……
帰りたくなる……
「キラー君、本音が弱々しくてがっかりさせないでよね。私はキラー君の魔法しか頼りに出来ないのだから…」
彩希にそんな事言われるとなぁ…
「ほら、すぐにキラーちゃんは調子に乗るから大丈夫だよね!」
いくみが彩希に笑いながらそんな事を言った。
「でも、キラー君の魔法を頼りにしているのは本当よ。あとのメンバーの必殺技なんか無いに等しいもの。」
彩希さん…あまり皆んなは何もしない様な事言わないでおくれ〜
そんな話をしながらの三叉路に到着した。