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僕達は勝手にガーゴイルは弱かったんじゃないかと思いながら話を終わらそうとしたのだが…
「あら!はじめまして!!きょうからかしら?」
見知らぬお姉様と数名の屈強そうな男が彩希の右隣りに立った。
因みにいくみの左隣ともいうのだが…
「ええ…ガーゴイルが扉を開けてくれたので……」
彩希が言葉少なめに返した。
「誰も犠牲者とか出なかったみたいね…私達は2名をカニのエサに投げつけられたけれど、相当なメンバーなのね。」
お姉様が言った事に僕達は驚く。
「しょうがないわよ…弱い者はこの先も厳しいのは
分かりきっているのだから…ガーゴイルは手強いけれど、その数倍を覚悟していかないと厳しいわよ…」
言いながらお姉様達は去っていった。
「ちょっと!!やっぱり桶壊したの正解だったんじゃない?みんな無傷だもん。」
朱音は興奮気味に早口で言ったが、本当に彩希の作戦は大成功だったのでは無いのか?
それが無ければ、本当にカニのエサになる事になっていたのかも知れない。
「彩希、何か言葉少なめの警戒モードだったよね。」
いくみが彩希の顔をマジマジと見ながらそんな事を言った。
「いくみは私達の両隣に来る前に気付いた?私は全然気配を感じ無かったのよ…だから、警戒していたの……」
彩希の言う通り、話しかけられるまで気が付かなかった。
円形のテーブルなので彩希といくみの対角線上に居た僕も言われて初めて気が付いたのである。
「そう……完全に気配を殺しても大勢居るのだから、ある程度気が付くのよ…それなのに全然……」
彩希の警戒はよく分かった。
「そうそう!桃は名乗ってから名前を聞こうとしたら、さっさと行っちゃたから、名前も知らないんだよね…ついでにゴツい人達は、何も話さないし…」
桃は自己紹介してから、相手の事を聞き出したかったのかも知れない。
「確かにこのエリアに来てから、そんなに時間も経っていないけれど、まだあの人しか冒険者とは会話していないからね…あまり気にする事無いのかもよ?」
いくみが軽く考えようと、させながら……最後に『かもよ?』が気になるのですが…
「明日は探索に出るつもりだから、そろそろ宿屋に戻りましょうか。」
彩希といくみが気になると思えば、僕達も警戒しないとヤバいのではないのかしら??