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今坂道を下って来た場所から、坂道を見る。
「殆ど直角じゃない!よくみんな転ばなかったよね!」
桃が言う通り絶壁みたいな感じだが、直角よりは優しい角度なのだと、一応確認は出来た。
「まぁ、転ばなくて良かったよ。大人は転ぶとダメージが大きいからね。」
ハカセが安堵した顔で言ったが、本当に大人は転ぶと危ない。
手を着けば手の平負傷とか、腕からいけば骨折とか…
可能性は十分に有り得た事だった。
「さてと、転ぶ話は無事だったから良しとして……あの街に行けば話は進む筈よね。」
彩希が冷静に目の前に栄えている、洞窟の下に降りた場所の街を指差す。
「街があるって事は、ここに住んでる人も居るって事よね…」
いくみが言ってる途中で、すずかが……
「地底人?」
「なんで、すずかがそんな事言い出すのよ!キラーちゃんじゃあるまいし!」
笑いながら、いくみが真顔のすずかを見た。
「私……マレーシアの洞窟探検のテレビでツボったから、いつかは使いたかったの!まさかこんな時にチャンスが来るなんて思わなかったわ……」
すずかさん?
僕もその番組知ってるよ……四人でね…まぁそれ以上は言わないけれど…
「えーと……ほらっ!すずかが変な事言うから!!何を言おうとしたか忘れたし!!まぁ、街に行くしかないよね!」
いくみの言う通り、街に向かうしかないのである。
頼りにする場所であり、拠点に出来る場所なら文句無いのだが…
「やぁ、ようこそ!ガーゴイルに認められた勇者達!」
なんか180センチは軽く超えた背の高いオジサンに街の入り口で挨拶された。
「どうもありがとう。ここは普通に街になっているけれど、皆さん住んでいるのかしら?」
彩希がすぐさま相手のオジサンに訊ねた。
「そうだね。これ以上進める自信があれば先に向かうのだろうけれど、しょうがないから此方に住んでいる者の複数名居るよ。私もだが、完全に此方で普通に生活している。」
大まかにオジサンが説明してくれた。
「じゃあ、宿泊も出来るって事でよろしいかしら?あと……食事が出来る場所もあるかしら?」
だいたいこんな時は、彩希に全部お任せした方が話は進む。
「あぁ…私は宿泊場所を経営している。食事は、君達もティアーズから来たのだろ?そこと一緒だ。」
オジサンの言葉に
「って!って!!!事は、食べ放題!??」
桃が俄然元気になってしまった。
「勿論だ。メニューは違うが食べ放題だ。あと……この街なかでは戦闘は禁止している。ついでに、敵以外は倒そうとしては駄目なのを誓えれば、この地下の街で歓迎をしよう。」
少しオジサンが笑みをみせながら話した。
「勿論、私達はそんなに戦闘に飢えている訳では無いので、誓えます!」
いくみが独断で誓うって…
まぁ全員一致だが。
「よし!そうと決まったら、私の宿屋にチェックインしてくれ!毎日朝にチェックアウトになるので、料金は日払いでお願いする。奥に向かえばいつ帰って来れなくなるかも知れないからね…」
オジサンの最後の一言が僕達にズシリと響いた。
どうやらCブロックがどんな場所なのかを調べないと、難しそうである。