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ガーゴイルさんと対峙しても、僕達はなんとかならないのか?と、考えていたのだが……
どうやら何もなんともならないみたいである。
「私は此処で水を管理するのと同時にこの先に進めるかを管理している。その私が許可する者はこの先に進める。許可しない者は…」
ガーゴイルさんが説明している途中に
「ここで帰らされるのかしら?」
彩希が妖しく笑みを魅せた。
「いや、許可しない者は、カニのエサだ。」
ガーゴイルさんの二択はなかなか厳しい選択である。
「それで?私達は貴方を倒せば宜しいのですか?」
いくみが血の気が引いた様な表情でガーゴイルを睨みつける。
「そうだが、一つだけ条件を出す。」
ガーゴイルが言いながら、サッと左手で池の方を指差す。
そこには大きな透明な桶みたいのが水を満載で置いてある。
「あの桶の水が今は満杯なのだが……」
ガーゴイルが言いながら右手でサッと石を投げた。
水が小さな穴から出て来る。
「この水が無くなる迄、凡そ10分だが……それまで君達が生きていたら通してあげよう。」
ガーゴイルが条件を出した。
「その桶の水が無くなる前に、貴方を倒しても大丈夫なのかしら?それか、水が完全に無くなれば終わりね?勝つか時間一杯が条件でよろしくて?」
彩希ガーゴイルにたずねる。
これは何となく時間稼ぎにも思えるが、いい作戦だ。
「その通り、どの様に戦ってもよろしい。私は完全に一人である。この広間からは既に出れなくなっている。」
ガーゴイルが言う通り後方には……完全に塞ぐ様に………カニが数匹居た。
「安心していい、そのカニは逃げない様に居るだけだ。何も君達に攻撃する事は無い。」
ガーゴイルは言いながら、戦闘体勢に入った。
「さぁ……スタートだ!」
言いながらガーゴイルがハカセに向かって飛んでくる。
やはり翼はしっかりと飛べるやつだったのか…
そんな感想を言う場合でも無いか…
ガッ!!!
ガーゴイルの手がハカセの傘型の盾にぶつかる。
「私は雨樋なのでね…先程からその傘が気になっていたので一度で壊してみようと思ったのだが、なかなか硬い傘だな。」
ガーゴイルは結構冷静に見えて、狙うのは傘からだったのが意外だった。
10分って相当長いぞ……