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ガーゴイル
超有名な悪魔じゃないか?
あのガーゴイルが目の前に居るのである。
「キラー君、『あの』とか『超有名』とかはさ、憧れだったらいいけど…アレ……敵よね?」
彩希が言う通りなのだが、今迄の虫とかの巨大化したのとは全く違うジャンルなわけだし、ゲームとかでしか見た事無いのが目の前に居るもんだから……
「君達は随分話しが好きみたいだな…そこの可愛らしい子が言った通り、私は雨樋の番人、ガーゴイルだ!」
なんか余計な代名詞が付いていませんですか?
「雨樋って何よ?あのシャッターみたいな事言ってるの?」
小声で朱音が僕に聞いてきた。
それはシャッターは雨戸だと思うよ…雨樋でしょ?簡単に言えば屋根の周りに付いてる雨水を下に流す時に集めるあの集合場所みたいなやつ。
「えっ!あっ!!排水口みたいな!!」
いくみさん!あまり大きな声でそんな事言うなって!
「水を集めて下に送るのが私の役割りだ。ゴミは要らない役割りである。排水口とはそんな排水みたいな事を言うな。」
ガーゴイルがわざわざ説明している。
排水口とは違うらしいよ…
あまり、相手を煽らないでよ…
「下水溝とも違うのね……よくゴミ溜まって下にビッチャビチャに流れてる家とかもあるよね…」
だーかーらー!!
彩希も煽るんじゃないって!!
「相手は悪魔なのよ!そんな小さい事で腹を立てるなんか、余程雑魚悪魔よね?」
いくみ!!
傷口をグリグリするみたいな事言うなよ!!
「なかなか威勢が良いので、私も力試しが楽しみたよ!」
ほら!なんか力試しとかガーゴイルが言い出してるじゃんかっ!!
「しょうがないわよ…それに、私達って最初は悪魔を倒せって言われたのよね。ブシャーとかを悪魔と銘打って、実はあれ…悪魔じゃなかった!みたいな……」
彩希が言う通り、僕達はこの世界に居るのは悪魔を倒す為であった……しかし、悪魔というより悪魔扱いにされていた連中だったのである。
まぁ……恐らくなのだが……本当に悪魔なのかも知れないけれど、完全に人間と同じ感じの相手であった。
対するガーゴイルさん……
黒いというよりもグレーみたいな肌をしている。身長は2メートルはあるよな…そして背中に大きな羽がある。
恐らく飛べるのだろう…何処かに飛んで消えてくれないかしら?
顔は、大きな眼が目立つ。
そしてガッチリとした筋肉質な体格で、太っているより、細身という感じである。
悪魔のよくある爪が長いイメージよりは、それ程爪か目立つ訳でも無い。指は結構長い気がする。
別に武器を持っている訳でも無く、本人が雨樋の番人とか言っていたが、別に水を集める訳でも無さそうである。
そして、意外にも、話しが穏やかな口調なのだ。
しかし、殺意があるのもなんとなく分かるのが困る。
「キラー!あのガーゴイルって人は、結局ここを通してくれるの?」
桃……多分普通には通してくれないんじゃないか?
「そうだな……私が通してやると許可をしたら通れる。勿論此処で終わるのなら通す必要も無いだろう。」
ほら!ガーゴイルさんが力入ってるよ!!
全ては全員の自主トレの成果頼りに、自然となってしまった。
困るなぁ……