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さて……
普通にターゲットは大きいので、恐らく火は命中するであろう。
然し、このカニは池に居たので明らかに水で濡れているのである。
ましてや狙おうとしているのは僕達のちょうど裏側にあるコケである。
「キラー、ハサミの所にも毛ガニ感があるから……そこをピンポイントで狙ってみてよ!」
桃はカニを食べる事を破棄したので、一気に倒そうと考えがまとまったみたいである。
「私はキラー君が外す事を考えていないので、頑張ってね!向かってきたら、みんなで左右の脚を斬ってみる予定になっているから。」
彩希がまたプレッシャーを僕にくれるわ…
ただ、全員か左右の脚を狙おうとする考えは無難だが、これ以上の作戦は今のところ見当たらない。
そんなプレッシャーの中で僕はいつもの様に野球の素振りからの、縦に鉄パイプを振り落とした。
ドンッ!!!
見事にカニの右手のハサミがある、毛ガニの証拠でもある毛髪部分に火はヒットした。
パリパリパリパリ!!
火は点いたのだが……
水分を飛ばしただけで……消えてしまった。
「さてと、これでカニはこっちに来るよ!みんな左右に!!」
いくみの掛け声でカニに向かって左側に、ハカセ、彩希、すずか。
一方右側に朱音、いくみ、羽角、小春が位置した。
左側に少ないのは左側が池だからなのだが、そこに僕が位置を取れば良いのかな?
「キラーは真ん中でもう一度同じ場所を狙って!!」
朱音の指示に、僕は再び火の魔法を使う。
ボンッと先程と同じ様な音はしたのだが、硬そうな殻?甲羅部分は燃えそうもない。
「キラーさん、キッカケをもらいましたので!!」
小春がヒュン!と、弓矢を放つ。
ガッ!!
やや鈍い音だが、どうやら矢がカニのハサミの……なんと言えば良いのかな?中身が美味しい丸い部分に突き刺さったのである。
「キラーさん!もう一度あの弓矢をめがけてお願いします!!」
小春の指示に僕は再び火を放つ!!
ボワッと火が矢から出たのである。
「以前のプテラノドンとの時に思いついたのを、矢を少しアレンジして灯油を染み込ませた矢を用意してみました!!」
小春凄いな!
見事にカニのハサミが燃えている。
そして効果は矢が刺さっているので、手の内部へ燃え移る様に火が点いた。
………然しまだ、それだけの事である。戦闘はまだ終わらない。