148
「やっぱりさぁ、洞窟広いよねぇ…帰りも面倒だよねぇ~どうりでみんな出て来ない訳だ。」
桃がカニのお陰でモチベーションが上がっておりまして…
きわめてウルサイ!!
しかし本当に洞窟は広い。
まして今回の目標である池迄はAブロックからBブロックに到着する程の距離なのであるらしい。
そして今現在居る場所は初めての場所な訳で……
新規に歩く場所はどうしても慎重になるし、目標の池に向かう為のコースも分かっていないのである。
「毎回いくみとすずかで道を確認してるけど、やっぱり今回はキツいわね…いつ厄介な敵が出てくるのか分からないし…」
彩希も結構こういう時は余計な事も言わず黙々と歩く。
賑やかなのは桃だけである。
羽角や小春と話しているが、まぁそれは大丈夫だろう。
変な敵はうるさくしていれば逃げてくれないかと浅い期待もしていたりするのだが…
「多分だけど、この道を真っ直ぐ行けば池に着くんじゃないかな?」
いくみが全員に向かって説明したが、
「ホラ!!キラー君、笑う!!」
彩希が僕に向かって小声で言った。
「あーー!久しぶりのアレか……」
ハハハ……
ごめん、笑い方忘れたよ…
「あっ!真っ直ぐ行けば池かぁ!!」
ハカセ……シャレを説明された人程虚しいものは無いぞ!!
そう……
今回久しぶりに、いくみかシャレを言い出したのである。
(シャレ)=迷惑な形式なのだが……
「今のはたまたま!!無理して笑うなっ!」
いくみにしっかりと怒られた。
最初の頃は頻繁に言ってたけど、途中から言わなくなったからなぁ…
「当然でしょ!毎回スベってるんだもの!!」
これ以上いくみの傷口を触れてはいけないのが僕の危険察知能力に警報を出している。
こんな時にハカセが変な事を言わなければ勝ちなのだが……
「いくみのシャレはこの冒険で一番の苦行よ!何しろ笑ってあげないといけないのだもの…」
彩希が羽角と小春にそんな事を教えている。
そう言えば羽角達が入って来た頃には既に言わなくなっていたのか…
記憶はあやふやだけど……
そして、彩希の話はしっかりといくみに届いておりました。
「もうね!笑え!!とか言ってないからっ!!今だって!!」
あぁ……これはいくみを止めるのも大変だぞ…
「あっ!!『行け』と『池』ですかっ!上手いです!!」
おい!!羽角!!!黙れ!!
僕は心の中で彼の胸ぐらを掴んでいる…
「いくみさん!そんな素晴らしい事をすぐに言ったりしていたんですか!!」
ちょっと待って??
羽角は本気で思ってるのか?
「キラーさん!当たり前じゃないですか!すぐに閃くって事は相当頭の回転が速くないと難しいですから!!」
羽角がいくみをベタ褒め……
「まぁね…閃きは大切よ!今は戦闘で閃きを魅せないといけないから封印してたのに、思わず漏れてしまったのよ…」
いくみが何気に満足そうな顔をしている。
羽角は本気で褒めてるし、なんか上手く循環してるみたいだ。
「そうね、今度からいくみも羽角君に溢れた知識を出してあげて!」
彩希さん?
微妙にトゲが鋭いのですが…