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「ほら!カニの前にやっぱり出て来たよ!!桃、ちゃんと倒してよ!!」

朱音が桃に一度振り返りながら話した。

出て来たのは勿論クワガタなのだが…


「この前と同じ位の大きさね…ハカセ、また怪我しないでよ!」

いくみがハカセを見る。


「桃とハカセが頑張ってくれたら結構楽勝なんじゃない?」

彩希が笑いながらクワガタに向かって刀を構える。

冗談は言えても実際目の前に敵がいるのだ…

油断していると一瞬で最終回になってしまうかも知れないのだから…


「当然、ハカセと羽角でハサミを抑え込むんでしょ?そしたら、桃はすぐに真ん中を突くのでよろしく!」

本当にきょうの桃は気合いが入っているみたいだ。


「じゃあハカセさん、もう少し距離を近くにしていつもの様に抑え込みますよ!飛んだらすぐに伏せて下さい!!」

羽角の言葉に、

「飛んだらすぐに伏せるのが難しいから、羽角!!絶対に抑え込むよ!」

ハカセがいつものネガティブ発言かと思いきや、絶対に抑え込むなんて前向きな言葉を珍しく発した。


いつもと僕達のヤル気が違うのは、桃とハカセの気合いをみせている事なのだろうけれど、つられて他のメンバーも頑張れる気がする。


「桃、さっき話した通りに突けば大丈夫よ…」

すずかがどうやら桃に狙いを伝えたみたいである。


「大丈夫だよ!あとは二人がちゃんと抑え込む事が出来たらこの作戦は成功だもん!」

随分と前向きな桃だ。


「ハカセさん、いきますよっ!」

羽角がクワガタとの距離を10メートル程に近付いてハカセと共に走り出し、クワガタの両方のハカセをしっかりと抑え込んだ。


「一番槍!!!」

桃が本当に一番槍でクワガタのハサミの間のど真ん中を一気に突いた。


メキメキメキメキ!!

槍の穂先が突き刺さる音が鈍く響く。


「いくみ!桃だけじゃやっぱり無理みたいよっ!」

彩希が笑みを魅せながらクワガタの両方の前脚を斬る。


「桃!よく突いたわねぇ〜」

朱音が言いながらクワガタの首付近を薙刀で突く。


「すずかさん!私達も!!」

小春とすずかが両側に分かれて二番目の脚を鉈で斬る。


「ふぅ…朱音の薙刀でなんとか動かなくなってたかな?」

桃が顔を汗ビッショリになって笑顔を魅せる。


「本当に桃が突いていくとはねぇ〜」

笑いながらいくみが桃を見る。

「きょうのカニの為よ!カニの前に動いてお腹空かせないと!!」

桃は今回は満足そうな顔でみんなを見る。


まぁ、いつも通りにすずかと羽角は早くもクワガタのハサミを引き抜く作業に入っているのだが…


「なんかこの光景がね…昔、象牙を捕る悪い奴等にしか見えてしょうがないんだよね…」

ハカセがフト言った言葉に同調の気持ちもあるのだが、クワガタは人を食しているので……

やむを得ない事なのだと自分に言い聞かせた。


ハカセも嫌な例えを出してきたよなぁ…



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