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「ウソでしょ?!」
女性陣から集団でハカセに驚く。
「そ、そ、それが、ホントなんだよ!僕が一番ビックリしたもん!!」
ハカセがいつもよりも声を張り上げる。
何故そんなに驚いているかは……
ハカセの負傷が翌日に治癒してしまったのである。
「あの気持ち悪いブルーベリージャムみたいの塗ったら治るの?」
桃がハカセの傷口があった付近を地面に落ちていた木の枝で突く。
「あのさぁ〜桃〜触るとか分かるけど、枝でってなんだよ!」
ハカセの言いたい事はよく分かるけど…
「ハカセに直接とか嫌じゃない?」
桃の言葉に、
「あ〜気持ちは分かる!!」
「彩希までかよっ!」
ハカセ……可哀想に……
「じゃあ、もうきょうは洞窟に入れるのね?キラーちゃんも前に一晩で治ったけど、何なの二人共!!」
何故かいくみに僕まで怒られるって……
「ホントに変態能力よね…同じ様に羽角は塗っても治らなかったし…」
朱音さん?
変態能力ってなんなんだよっ!
………と、いうわけで誰もハカセの回復力を凄いと言われていないって悲惨な状況で本日からまた洞窟探索になる。
「でもさぁ……きょうはハカセに起こされたんだけど、早過ぎるんだよ。全く……まだ真っ暗だったし…」
「キラー!それはしょうがないよ!うっかり寝返りしちゃって、ハッと起きたら痛く無いんだよ!!見たら治ってるし!!」
既に洞窟内なのだが、これがハカセが僕にいきなりたたき起こした顛末である。
「僕もビックリしましたよ!ハカセさんが起きて僕の事を起こすんですから…寝坊して、もう夜になったのかと思いましたし…」
そう…
最近はすっかり羽角に目覚まし係を任せてしまっていたのだ。
結局治ったのも驚いたが、ハカセが早起きしたのも驚いたのも事実。
「本当にハカセが治ったって事は、きょうは豪勢にカニだね!」
桃はカニを食べる事しか考えてないのか?
「当たり前でしょ!カニだよ?こんなに楽しみなのは無いでしょ??」
もう桃のカニ狙いには逆らえないみたいである。
きょうは怪我も無く進まないといけないなぁ…