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「それで、僕の怪我はどうなってるの?」
ハカセの問いに、
「後ろを見ていると、今度は死ぬわよ!」
すずかに言われたハカセって、何気に可哀想だ…
「大丈夫!そんなのかすり傷!!」
朱音さん?結構血が出てましたけど、かすり傷って……
昭和並みの気合論で乗り越えようとしている…
「だいたい盾を持っているんだから、しっかり守りなさいよ!」
なかなか、いくみも手厳しい…
「ハカセさん、今は相手に集中して下さい!傷は僕達が見てますから大丈夫です!」
羽角もなかなか辻褄の合わない謎の説得をする。
「ところで、さっきと同じ態勢になってる筈なんだけど……どうするの??」
ハカセが恐る恐る羽角にたずねる。
「ハカセさん、もう一度ハサミを抑え込みましょう。」
羽角が既に向かいそうな勢いである。
「そうね、ついでと言ったらオカシイかも知れないけれど、次に失敗したらハカセもかすり傷じゃ済まないかもね……」
彩希が冗談みたいな事を言っているのだが、これが本当の事なのである…
身構える訳にはいかないので、兎に角先にあのクワガタのシンボルである、ハサミを抑え込まなければいけない。
「羽角、もうクワガタに近付いて少し近くへいこう…」
ハカセが言いながら羽角と共に少しクワガタとの距離を縮めた。
「キラー君、もし向こうがさっきみたいに飛んだら……火を羽に当ててね!」
彩希が言った通り、羽の部分が開く訳で確かに火を放てば良かったと、自分でも気になっていたのである。
さぁ……もう一度最初からの状況で今度こそ決着が付けば良いのだが……




