19
扉を開けると広い空間があり照明はいつもよりも暗かった。
ほぼ中央に白い何かがある。いや、何かが居ると言った方が正しいか。
今回は兎に角戦わないといけないのが判明しているので此方の動きはある程度決めてある。
桃がタブレットで照合してみると………
「ドラゴンボーンって出てるけど、あの白い丸いのがドラゴンなの?」
言ってるタイミングで確かにドラゴンなのが判明した。
7.8メートル位なのか想像していたドラゴンよりは小さいのだが骨格はドラゴンだ。肉は付いて無いけれど。
「なんかね、火を吐くみたいだから注意しないと危ないみたいよ。」
桃が特徴をみてくれたタイミングで彩希が
「キラー君のマントが防火マントなのよ。頑張って!」
おーい!!防火マント位で無理だって!燃えない程度。
言いながら僕はドラゴンボーンに向かって石を打ってみた。身体に当たったのだが壁に小石を投げた感じ。
「ダメージ無さそうね。キラーちゃんの新しい魔法の鉄パイプで撲る方がよさそう。」
「いくみさん!?僕の新しい魔法ってあれ魔法じゃ…………」
「みんな世間からすれば貴方の存在は魔法使いなのよ。じゃないとここまで一気に来れないわ。」
彩希迄便乗。
「火を吐く前に斬ってみよう!」
いくみが二刀流の少し長くなったナイフで胴体部分を斬りつけるが、あまり効き目が無さそうだ。
「人食い骸骨の時に頭を狙ったからやっぱり頭を狙わないと!」
と正面に向かいすずかが鉈を殴り付けたかったのだが………
「高い~届かない~」
珍しく落ち着いた口調じゃなかったので逆にすずかが可愛い~ってなってしまっている。
「言えるのは半分位の確率で勝てたグループがあるんだから勝てるって事でしょ?」
朱音が薙刀で頭迄は届かないが頚あたりにヒットした。若干のダメージがあるのか?無いかも判らないのだが…
「ここはキラーと私の飛び道具の方がいいかも!」
言いながら桃が強力になったスリングを頭に………
「当たったのはいいけれど、いよいよ上体を上げたぞ!口が開いたら火が………」
僕が言ってる途中で炎が…ハカセはジュラルミンの盾で何とか大丈夫みたいだ。
僕はマントのおかげで燃えなかったみたいだけれども、熱い。
みんな人を壁にして隠れちゃうし。
「これは思った以上に大変ね。兎に角頭に近い場所を攻撃して頭が下がればそこを一気に攻撃しましょう。それにしても防火マントって本当に燃えなかったわね。」
彩希が僕のマントを触りながらある程度の作戦を決めた。
「でもさ、熱いんだよ。メチャクチャに……」
「燃えなかったのだから良かったでしょ?因みに帽子も防火帽子なのよ。魔法使いってよりも、消防士さんみたいね。」
クールな口調の割りに彩希は無駄話が好きだ。あまり慌てるって事も無いのが彼女の特徴でもある。
「手足は無いのね。蛇みたいのが火を吐くって考えたらいいんだ。どう見ても今までの相手より勝てそうも無いけれど。」
少しいくみが先程の手応えでピンチを実感している。
「これはじわりじわりと攻めないと、やっぱり彩希の意見が一番の近道みたいね。」
朱音は先程の攻撃で少し手応えがあったみたいだ。