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2階の階段担当の兵士さん達に挨拶しながら1階に戻り、街への階段へ向かおうとした処で、
「ゴキブリ共がゴキブリの脚を持ってるわ。」
と、笑いながらへんな団体が絡んできた。
「ゴキブリ!、脚を少し置いていけよっ!!」
と、言われたら彩希が
「蛆虫に頭の中蛆虫がわいたのかしら?」
なんか不穏な空気。
男2人、女2人の4名が此方に向かってきた。しかも剣が掲げながら。冒険者同士のルールでダンジョン内では冒険者同士は武器をしまっての通行だったと言うことは………
「見慣れない奴等だな!新人だろ!!脚を置いていけばそれだけで赦してやるよ!!」
なんか、悪いことした???
「知らないの??ここにいるのが魔法使いで有名なキラーよ!貴方達も日暮谷みたいになりたい??」
って、いくみさん??不思議な脅しをしてません??
僕はしょうがない、ノリで鉄パイプを壁に向かってコンコンって叩いてみた。
「すいませんでした!!!」
4人は逃げていった。
「恐かったねぇ~桃なんか顔も見ない様にしちゃったよぉ~」
と、桃がホッとした表情を浮かべると
「私も、もしかすると人と戦わないといけないのか?って考えちゃって、困ってた。」
と、朱音も安堵の表情。
「彩希といくみは凄いわ、私にそれだけで機転が利いてなんか言えない。」
と、いつもの様にすずかは細い声で言った。
「でも、キラーの名前は昨日の夜に一躍広まっているねっ!魔法使いだなぁ~」
と、ハカセが…………
「あの~僕、魔法使いだけど魔法使えないよ!みんな知ってるでしょ??」
「既に存在が魔法なのよ。戦闘にならずに済んだじゃない。魔法で追い返した様なもんよ!」
彩希に言われたけれど、彩希といくみの方が魔法使いなんじゃないか?
「でも、ありがとう。なんとか戦闘にならずに済んだから、これで無事に戻れる。」
僕はよく分からないけれど、追い返すネタにされたがここでの回避は大きかった。
いくみが
「じゃ、兎に角上の兵士の人に今の奴等の事を伝えましょう。」
そうだった。変な奴等がいたら伝えるように言われていた。
僕達が1階の兵士達に伝えると、
「君達本当かい?実は君達が脚を置いていけと言って持っていかれたと被害届が出ている。」
ちょっと待て!あれが逃げて伝えに行ったのかっ!汚ない奴等だ。
「2階の兵士さん達に問い合わせてください。挨拶して上がって来ました。」
すずかが冷静に応対した。しかもそれだ!って、事をしっかりと。
「すいませんでした。どうやら被害は貴方達だったようですね。被害を逆手に取った悪どい奴等だ。一応相手の顔は控えてあるので各階段の兵士達がもう取り押さえる事ができます。本当に申し訳ございませんでした。」
兵士達に謝られても奴等が悪いだけだからしょうがない。
「こんな人もいるんだね。これからも気を付けないと。やっぱり有名人は目立っちゃうからなぁ…」
桃がアイドルの頃は外出も恐かった話を始めた。
昨日の食事の時にも同じ話をしてなかった??
訓練場に戻り、売店に向かう。
「ゴキブリの脚を12本!!さっ!おいくらかしら?」
彩希が上機嫌。
「ゴキブリ12本で、12000Gだよ。」
1本1000Gか、ゴキブリに値段付くからいいよねっ!。まあまあか。