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羽角を先頭に瓦礫の山を通り越す。
高さはだいたい1メートル位なのだが、今迄の平坦だったフロアからは違和感が湧く。
と、一番上迄羽角が着いた時に事件はおきた。
「うわぁ!」
「何?羽角、転んだの?気をつけてよ!」
朱音が2番目を歩いていたのだが、事態は転んだ訳では無かった。
「朱音さん!そこに棘みたいのがあるから、触れないで!」
羽角が言った先に棘と言うよりも、鋭利な刃物みたいのが見えていた。
「あっ!ここにもあったよ!」
そんな事を言いながらハカセが刃物の様な棘に盾を当ててみた。
「グワッ!」
と、いきなり刃物が両方動き挟み出す。
ハカセがなんとか両方の盾で刃を避けようとした。
その時、ようやくこの瓦礫の下に居た者が出てきたのである。
「ハカセ、貴方が触らなきゃ出なかったんじゃない?」
彩希の一言がなかなかの重みになっている。
「で、あの変な格好のは何?」
いくみの言っている変な格好とは、
頭にツノの様な刃が2本。これが丁度ハサミの様になっていて、背中は丸いシワシワの…体調は約5メートル程の脚は6本のグレーっぽい動物と言うよりも昆虫である。
僕は恐らくこれだろうと、思いみんなに説明した。
「多分ね、蟻地獄だよ。」
「えっ!あの、借金に借金を重ねる…」
「桃、それは単なる借金地獄!」
僕はなんでこんなのツッコんでんだ?みたいなツッコミを入れたが、
「えっ!蟻地獄って虫、本当にいるんだ!」
彩希すら知らないのか…
「本当の蟻地獄は下に落とす様な仕掛けなんだけど、ここのは山を造っていたから若干違うんだろうけどね。多分蟻地獄だよ。」
こんな暢気な話をしている場合でも無いみたいな状況でもあった。




