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結局ハカセは微妙だったが、まぁいつもよりは少しは攻撃もしてくれた気がする。
「結局まだ36階な訳だけれど、あのブタが居なければ他の相手なら虫ばかりだよね。他のグループってどうしているんだろ?」
いくみが言うのも当然なのだが、確かに別に強敵って訳でも無いまま、この36階迄上がって来れたのだ。
「いやいや、皆さんは気付かないのかも知れませんけれど、僕と小春はオーク達にやられてますので…」
そうだ、羽角と小春はもう少し時間が遅ければオークの集団に捌かれていたのかも知れないのだ。
「うん、あの時の光景は忘れられない。目の前で殺されたり、あたしと羽角を見捨てて逃げるメンバーの姿…」
小春が小刻みに震えている。
「私とすずかも日暮谷に襲撃された時は諦めたもの…」
朱音も青ざめた表情になってしまった。
そうだ僕達初期からのメンバーは普通に進んでいるのだが4人はそれぞれ怖い目に遭ってしまっている。
「私達は巡り合わせで一緒になれたのだから、これからも一緒に頑張りましょ。」
彩希がいつもと数段違う面持ちで周囲に向けて話した。
なんだ、やっぱり彩希って綺麗なんじゃ……
「キラー君、今は余計な感想は要らない。」
久しぶりに見透かされた。
そろそろ37階へ向かう階段がありそうだ。
足音の響きで、なんとなく分かる気がする。