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「バレてても勝つしかないでしょ!」
結構無謀なのだが、彩希の言葉に納得するしかなかった。
「もうさ、完全に追い込まれたけど、階段の入口は通路からは少し狭い訳だ。ハカセ、作戦は1つ、階段で戦うしか無い!」
僕はハカセに階段での戦闘を示唆した。
「でも、キラー…二人並んだらアイツのハンマーをモロに喰らうよっ!」
ハカセは弱気であったが、兎に角団長オークには階段しか策は浮かばない。
「ハカセ、団長が来たら左側の壁にへばりついて!」
僕はハカセに耳打ちをした。
「オマエ等馬鹿だな!階段みたいな狭い場所なら俺のハンマーを避ける事なんか出来るわけ無いだろ!」
団長オークは徐々に迫って来ている。
間もなく階段だが、後ろは雑魚オークが他のメンバーを見張りながらの状況だ。
団長オークが階段を一歩降りた時に、僕は鉄パイプを頭上で1回転、からの振り落とし!
ブワァ!っと風が吹いた!
全く効き目なんか無さそうな風に………
団長オークの目に……そう、埃を飛ばしてみたのだ。
「やっぱりキラーさん、凄いや!」
羽角が雑魚オークを突き飛ばして、手前に居る団長オークの背中にブチ当てた。
「うわぁ!」
ハカセは慌てて左側の壁にへばりついて回避!
僕は団長オークの前のめりに滑り落ちていく後頭部に鉄パイプで水を放ってみた。
「グワァ!」
今回は結構効いたぞ!
「ハカセ!行くよ!」
一気に階段を登りハカセは昨日のトイレに行きたがる時と同じ様に雑魚オークを盾で吹き飛ばした。
「よしっ!もうこれで道は開けた!」
いくみを先頭にオークの群れから一気に離れて行ける通路へと出ていった。
「やっぱり羽角なら、チャンスを見極めてくれると思ったよ。」
僕は羽角が動いてくれるかは、一か八かの賭けであったが信じて良かったと、実感したのである。