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「人間、やっぱりさぁ、生きているとピンチってものがあるじゃない?それを乗り切れば幸せってのが来るって言うのを実感するよね!」
ハカセの話が止まらない。
「ハカセ……トイレが混んでいれば良かったのに…」
すずかがいきなり毒を吐く。
「いやいや、もうさ、無理なら小の場所でも大丈夫な程ピンチだった……」
「ハカセ!煩い!」
いくみに怒られてるし。
「ハカセのせいで戻って来ちゃったけど、きょうはもう止めましょ!明日はちゃんとトイレに行ってからにしてよ!」
淡々と彩希がハカセに一言。
あれだけ大騒ぎしてトイレに行きたがる奴を僕は初めて見たよ。
そんな事よりも、今迄でハカセが一番話をしてなかったかな?
「そうだよねっ!桃も今迄ハカセが煩いなんか思わなかったもん!寧ろ、居るの?みたいな存在感の薄さ。」
桃が怪訝そうな顔をしてハカセを見ている。
「いやいや、小学生とかだったら『ウンコ君』とかあだ名がつけられそうだけど、大人で良かった!」
「いや、十分ウンコ君よ。」
朱音がズバッと言い切った!
「そうだよねっ!女の子だから言いたく無かったけど、ホントに…」
いくみが相当嫌ってるんじゃないのか?
「私ね、あんなに大騒ぎしてみんなに謝らないのが嫌いなの!」
いくみの一言に、ハカセがハッとした表情を浮かべた。
まぁ…チェリーだから赦してあげて。
そんなだから、永遠のチェリーなんだよ。
僕はそっと、いくみに話をしたのだが、ハカセが固まってしまった。
「ハカセ、そのガラスのメンタルは勘弁!まだ漏らしそうな時の方がいいわよ!私は楽しめたし。」
彩希の一言に、いくみも笑みを魅せた。
どちらも『ドS』だな。