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「あ、あった!」
ハカセがずっと小走りに先頭で行って、遂にエレベーターを発見した。
「はぁ…もう、何処を歩いたか判らないけれど、着いた。」
ハカセが饒舌である。
と、言うかハカセしか話をしていない。
「ハカセ!一人で行かないでよ!みんなついて行くの大変じゃんかっ!」
桃が少しムッとした顔で走っている。
「ほんと、こんな場所で走るとは思って無かったわ。薙刀持って走るの結構キツいんだよっ!」
朱音も怒っている。
「まぁ…着いたから良しとしましょ!エレベーターの中で漏らしたら私がハカセの首を落とすわ。」
優しい言葉からのいきなりの怖さは流石、彩希。
「はいっ!皆さんすいません!気を付けますっ!」
ハカセが片手を明らかに後ろにやりながら頭だけ下げた。
恐らく腰から曲げたら惨事が起きるのだろう…
「ホントさ、こんなに長時間漏れるって騒ぐんなら、離れてすれば良かったのにねっ!」
いくみの言葉にハカセが、
「イヤ!それは僕の理性が赦さない!」
いやいや、漏れるって騒ぐ方がよっぽどだよ…
「良かったね!エレベーター乗れて!あとはトイレって何処にあるの?」
小春の言葉に、
「入口の所にあったわ。たぶん、みすぼらしい姿で駆け込むわよ。」
すずかも表情はホッとした表情になっている。
まぁ…今回はハカセがいざとなれば強いんだと、分かって良かったって事で。
さぁ…いよいよ1階に到着します。