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「僕もね、プライドってのがあるんですよっ!」
ハカセが独りで大ピンチ中に熱弁している。
あっ!『ネツベン』はマズいか?
「そのハカセのプライドって何が?」
僕は熱く語るハカセに問う。
「やっぱりですね、女の子の前で外でするモノでは無いと想うのです。」
一応ここ、塔の中だよ。
第一に既にピンチで騒いでいるのがヤバいんじゃない?
「そんな無駄話よりも、前に…」
彩希が指差す先にいるのは巨大ゴキブリである。
「あっ!ハカセ、餌あげれば?ゴキブリだったら食べるかも!」
いくみさん?ハカセは本気でヤバいのに…
しかもさ、ここのゴキブリだったら人まで食べるんだぞ!
「もう!こんなヤバい時に出てくるんじゃねえ!」
いきなりハカセが盾でゴキブリを吹き飛ばした。
「一撃で!」
「えっ!ハカセなのに?」
「今迄もやりなよっ!」
一同驚きの声しか出なかった。
「なんだ、ハカセって本当にやれば凄いんじゃない!」
朱音が驚いた表情のまま、ハカセに言った。
「早く次の階段を探そう!少し出たかも…」
ハカセ!事態が最悪だぞ!
「ハカセ、お願いだから近寄らないで…」
嗅覚が鋭いすずかが離れた…
恐らく……