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「あの団長が攻撃してきたら、ハカセがちゃんと受け止めるのよ。」
彩希の言葉にハカセが頷くのだが、団長オークの持っているのは巨大なハンマーである。
「あれさ、もうコントとかで使ってたやつみたいだよね。本当に重いのかも分かんない。」
桃がハカセの隣で槍を構えながらオークの下っ端みたいのと対峙していた。
「向こうも空気読んで動けないから、やっぱ私か!」
言いながらいくみがナイフをオークの下っ端に投げつける。
と、同時に10名?ブタ?程のオーク達が一斉動き出した。
「こっちは後ろが階段だから気を付けてねっ!あまり逃げ場も無いから…」
朱音が薙刀を手に下っ端オークの攻撃を交わしている。
「あー、近いと弓は難しいのです。」
その朱音の後ろから、小春が弓を射る。
この二人は比較的近くに来られると不利なのだ。
「いよいよ来るわよ。あの重そうなのが!」
すずかの言葉にハカセのすぐ近く迄来た団長がハンマーを遂に上に持ち上げた。
「あっ!これ、受け止めると僕、死ぬわ…」
ハカセ!だったら避けろよ!
その団長がハンマーを振り落す時に……
羽角が団長オークのふくらはぎ付近を後ろから蹴り飛ばした。
ゴロゴロ、ゴロゴロ………
団長オーク、階段を転げ落ちる。
「よしっ!今しか無いから!」
彩希の掛け声でオークが団長オークを見て騒然としている中を立ち去った。
「羽角!大成功だよっ!」
彩希が羽角にその作戦を小声で提案していたらしい。
「彩希さん、ありがとう!倒せ無いけれど、転ばす事で僕と小春の元仲間の犠牲になった奴等に少しは……」
羽角が泣きながら彩希に感謝していた。
「ところでさ、キラーちゃんは何をしていたの?」
いくみに言われたが、僕は
「すいません。鉄パイプを持ってすずかと二人で見てました。」
すずかと二人で深々と頭を下げた。
そう、僕はあれだけ最終決戦とか言われていたのに、役に立たなかった。
「はぁ……キラー君に団長のハンマーを喰らわせてからが、良かったかしら?」
彩希にガッカリされた。
「はぁ…」
僕も溜息。
「溜息なんかつかないで!幸せが逃げるわ!」
彩希もついてたじゃんかっ!