99
「ねぇ、クリスタルも貰った事だし、あの団長オークが動くの遅いから……逃げない?」
いくみがクリスタルを持ちながらいきなりの提案だった。
「そうだよね!別に倒さなきゃいけない訳じゃないもんねっ!」
彩希がすぐに同調する。
女王様二人の意見が纏まれば動きは早………
「誰が女王様?」
彩希に睨まれた。
「ま、ま、まぁ、兎に角ここは、いくみの言う通り、逃げよう!」
僕はなんとか場を変える事に専念。
「一応さ、僕とキラーで、後ろを見るから羽角が先頭でアイツ等から離れた場所に!」
と、珍しくハカセが仕切っている。
「ハカセ、肩の槍の傷、結構痛そうだけど大丈夫か?」
僕は先程やられた傷を近くで見て心配になった。
結構深い傷である。
「今は大丈夫!殺されて無いから!今は離れるのが先だよ!」
珍しくハカセが頑張っているので、僕も後方支援と言う事で、一度火の魔法をかけて怯ませた。
「アタシも遠距離攻撃だから!」
と、小春も弓を一度使い相手の足を止める。
「完全に離れたね!いやいや〜オークがみんな太っていなければできない技だよ。」
朱音が後ろを見ながらニコリと笑った。
「本当ね。普通戦っているのなら、決着つくまで!みたいな考え方しか浮かばないのを、いくみは逃げるって言い出すのだもの。」
すずかもホッとした表情で、後方を見ていた。
「問題はいつまた会ってしまうか?なんだけどね。」
いくみがクリスタルを見ながら話しているのを彩希が、
「このクリスタルで4つ目。一応全て誰が持っているのかが、私達は判っているわ。そしてね、昨日調べた情報だと…この塔の何処かに祭壇があるみたいなの。」
流石彩希。そんな情報を何処で調べたのだか?
「って事は、祭壇にとりあえず行けばいいんだ!よしっ!桃は今回約に立たなかったから祭壇を見つけるぞ!」
桃がそんな事を言った直後、
「その前に、ハカセの怪我が…」
羽角がハカセの盾を持ちながら、ハカセの怪我の箇所に包帯をしていた。
「そうね、今は上に行くよりも、一旦引き返した方が良さそうね。オークに遭わない様に、さっき来たエレベーター迄戻りましょう。」
朱音が前を歩いてエレベーター迄向かう事にした。