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「じゃあ、その個人的に話がってのを聞こうかしら?」
朱音がすずかと二人で小声で出ていった。
「朱音、私ね……」
「戦う時にみんなが冗談とか言ったりしてるのが嫌なんでしょ?」
「そう……こっちは必死なのに…」
「みんな必死だよ!すずかは見てないかも知れないけれど、キラーも彩希も、いくみや桃だって誰も相手から目を逸らす事はしてないもの。」
「じゃあ、なんであんな変な話ばかりしてるの?私は戦う事に集中……」
「ちょっと待って!みんなあれが集中なのよ。」
「そんなの全然解らないわっ!ふざけて、ハカセと私はみんながいつ攻撃されるんじゃないかって思いながら戦っていたのに…」
「うーん、集中して戦う事も大切だけれど、あっ!そうだ、こんな話になったらこれを渡して欲しいって頼まれてたんだ。」
朱音がすずかに手紙を渡した。
西小山すずか様
いつも一緒に居てくれてありがとうございます。
今回、朱音に渡したのは戦い方が合わないと云う件になると思いましてこの手紙を朱音から渡してもらう様にお願いしました。
自分達が敵に対峙しながら会話をしているのは、怖さと会話でなんとかならないか?と、自然に発生した心の中の声だと思っています。
すずかと朱音を助ける時に日暮谷と戦う時はみんな一気に攻撃していたりした。
それは相手の感情も何も無い、ただ倒せばいい、ただそれだけの感情。
結果はご存知の様に彼は爆死、多数の被害者を出す結末になってしまった。
確かに赦せない事には違い無いのですが、自分達は誰も犠牲者を出したくない。
巧くいけば会話で無駄な戦闘も少しは減るのでは無いのかと、偶発的に発生したものだと思っています。
朱音は自然とこの雰囲気を取り込めてもらえたのですが、すずかには少し真面目な性格があるからわかり辛かったかな?
一緒に対峙しているのだから、みんながすずかの事も気にしています。
まるで、心を打たない文章なのはいつもの事で、でも自分達は仲間なので、すずかにもそんなに思い込まないで頑張ってもらいたいです。
今後とも何か不満が出るかも知れませんけれど、仲間の為に頑張っているのはすずかだけでは無いという事を頭の片隅にでも置いて頂ければ幸いな事と思いましてこの手紙を終わりにしたいと思います。
磯川翠
「アリカワって誰?」
「アリカワ?それ、イソカワだよ!」
「それで、イソカワ?ソツ?誰?」
「イソカワ!アキラ!キラーの事じゃん!」
「えっ!?キラーって名前じゃ無かったんだ!」
「感想はそれだけ?あーもう!!なんなの?すずかは!」
「あ、ごめんなさい。今度からもう少しみんなの事を考えながら事に及ぶわ…はぁ…カワしか読めなかった。」
「ま、ま、まぁ、文章はともかくいきなりキラーが渡してきたから、あたしもびっくりしたけど、みんな気持ちは同じだよ!一緒に頑張ろうねっ!」
「そうだね、みんなに謝らないと。」
「あたしはもう、すずかのキラーの名前を知らなかった事にびっくりして、いろいろ飛んだよ!」