89
「あった!なんだ…受付けの人とかは居ないんだね。カードを通せば認識されるんだって!」
いくみが真っ先にカードを通した。
続けてメンバー全員がカードを通して、エレベーターの到着を待つ。
「これでやっと1ブロック終わったって感じなんだ…なんか、長くない?」
彩希が呟いたが、本当に長い。
「まぁ、今は街に戻ってさ、羽角君の治療とか、歓迎会をやりましょー!」
朱音が声はいつもの様に明るく出しているが、表情はいつもより少し真面目な顔をしていながら、エレベーターに乗り出した。
「ヤバい!こんなにすぐに着いた!今迄の苦労は何?って感じ!」
桃がエレベーターを降りながら言った感想通りである。
「やっと街に戻ったから、兎に角一度宿泊施設に行きましょう!小春と羽角は荷物は宿泊場所に置いてあったりする?」
いくみが新規メンバーの二人に訊ねた。
「あ、いえ、私達は荷物は自分達で持ち歩いていたので…」
小春が小さな声で返事をした。
「小春!声は大きく出さないと、聞こえないオジサンも居るから、大きくねっ!」
彩希がそんな事を言ったが、聞こえないオジサンって誰だ?
「貴方に決まってるじゃない…」
彩希が耳元で囁いた。
扱いが酷いぞ!
僕達はプリサイスタワーに入る前迄滞在していた宿泊場所へと歩いていった。