83
「あっ!」
僕は思わず大声を出してしまった。
「どうしたのかしら?キラー君。」
彩希が刀を構えながらオークと対峙しながら僕に訊ねた。
「あっ、嫌、全然関係ないんだけど…」
僕は口篭った。
「あの子、可愛い!」
「貴方から叩き斬るわよ!」
彩希に怒鳴られた。
無理も無い…
「彩希さぁ、女の子が可愛いって事は本気でこのブタを倒さないと!」
久しぶりに僕は本気なのだ。
いつもなら相手に若干の躊躇があるけれど、そんな雑念は………
「雑念しか無いでしょ!」
彩希に心までよまれていた。
さっきの時も気付いてよ…
「可愛いから本気でって、まぁしょうがないわよっ!キラーちゃんがそれだけで、調子が上がればなんとかなるわ!」
いくみの方が寛容である。
「結構あのブタさん体力あるね…いくみのナイフ当たったのに、また構えてるし…桃の槍をうけてもまだ睨んでる。」
桃の槍は完全にオーク達に向いているので、彼等も一気に攻撃するのは控えているみたいだ。
「さっき火を吹いたのはオマエか?」
僕の火の攻撃はハカセに間違えられているので、僕にしてみればもう一度火をかける事がやりやすくなった。
「あ、あ、ありがとう…」
負傷しているが男の方は意識がある。
女の子はショックで気を失っているみたいだ。
「まだ終わって無いから黙ってな!ちょ、ちゃんと女の子を守ってくださいな!」
僕は男にそう言いながらオーク達を見た。
「珍しく格好いいセリフを言ったら噛んじゃったねっ!」
朱音〜、聞いてたのかよ!
おかげで最後が『くださいな』ってバタバタに…
「そろそろふざけていないで、なんとかしましょ。」
すずかに現実に引き寄せられた。