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「キラーちゃん、火で炙っちゃえばエビみたいになるかもよっ!」
いくみに言われたが、その後にエビが食べられなくなりそうだから嫌だ。
「エビの殻とゴキブリの羽根が同じ様だもんねっ!」
桃がニコニコしながら笑っている。
「確か、昔そんな話を聞いた記憶もあるけど、エビはエビ、ゴキブリはゴキブリ!僕は騙されないっ!」
なんか言いながら騙されている様な気もしてしまうのは何故だろうか?
「ハカセの方は全く両者動かないから、さっさとキラー君がこっちのを倒して!」
彩希……結局僕が倒すのね。
だいたいからして、1メートルもある虫って事が既に虫じゃない気もするし、かと言って明らかにゴキブリだし。
「気を付けないと食べられちゃうからね!」
言いながら朱音は僕の肩を叩いた。
もうやるしか無いか…挟まれてるし、女子にも挟まれてるし…違うのをはさんで………グッ!
彩希にまたもや……何故僕の心を読める?
一か八か鉄パイプで一気にゴキブリの顔面を殴ってみた!
ゴスっと鈍い音をたてたのだがあまり効いて無いかな?
若干動きが止まったのだが……
「うわぁ!危ない!」
ハカセの叫び声に振り向くと
ハカセの頭上をゴキブリは飛んで来る。
いや、僕達の頭の上も通り過ぎた。
下から見たゴキブリの脚部分はエビに似ていた。
そして、どうなったのかと言えば、僕に撲られたゴキブリは弱ったのか、解らないが飛んでいったゴキブリの食事となってしまったのである。
「あれさ、誰でもいいから食べやすい状況になっていたらそれが襲われていた訳ね。弱肉強食の世界って怖いわ。」
少し場所を移動してから、いくみに言われるでもなく、なんとなく同じ仲間に襲いかかられたゴキブリに同情してしまった。
「結局ハカセと対峙していたゴキブリはハカセの事なんて気にしてなかったのよ、相変わらずハカセは残念な立場ね。」
彩希に言われたが、ハカセがそこにいなければみんなでゴキブリのご飯になっていたのかも知れないよっ!とフォローしてあげたが、結論はハカセはゴキブリと見つめ合っていただけって事で…
「僕はゴキブリに何も出来なかったわぁー!」
と、言いながらハカセは少し悔しそうな顔をした。