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「あの塔が見えてる所迄あとどれくらいかしら?見えてるのに一泊はキツいわよねぇ。」
しっかりと寝た彩希は足取りも軽く進む。
「でも私はきょうもキャンプでも楽しいわよっ!焚き火を囲みながらのアダルトなお話は時間を忘れちゃうし!あぁーなんで今迄キャンプって言ったら早く寝るとか思っていたんだろ。」
朱音が朝迄ご紹介できないお話にハマってしまった。
謎の焚き火好きになっている。
「えっ!朱音がそんなに!?たった1晩で何があったの?桃も起きてた方が良かったかな?あっ!でも、桃は寝ないと朝から動かないけど…」
桃も朱音の豹変に驚いている。
「桃、私よりも焚き火の中ではすずかが一番凄いよ!ふふっ!見せたかったなぁー」
朱音がキャンプを楽しそうにしてもらえて僕も嬉しいよ。
「待ってー!これ、そよ風で辛い。」
ハカセが壊れたテントを持ちながら歩いている。
「ハカセさぁ…畳めないの判っているからって、そのまま持たないで分解しちゃえばいいんじゃない?」
いくみが振り向きながらハカセに話すと…
「そうだった…」
ハカセが何気に固まった。
どうやら全く気付いていなかったらしい。
「私もね、少しは罪悪感ってのがあるのよ。彩希ー!今言うけど、テント壊したの私!キラーちゃんとハカセを起こすのにねぇ…まっ、ハカセは起きなかったけど。」
いくみが彩希の機嫌を見計らって白状した。
「彩希の起き抜けに私の身に降りかかる災難は避けたいからねっ!」
なんか、いくみが狡いぞ!
「いくみが壊しても起きなかったハカセがやっぱり悪いわ…頑張ってテントを運びなさい。」
彩希が少し笑みを魅せながら歩いている。
なんとか夕方迄には辿り着けそうだ。