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「暗くなってきたからここで一泊しましょ!」
彩希が立ち止まりだいたい平地の場所で荷物を置きだした。
「彩希早いよー!もう場所決めちゃったの?はぁ…これから長い夜が続くわ。」
朱音が再び愚痴っている。
「スタシスの街に向かう時はそんなでもなかった気がするけど、ほんとに朱音はキャンプが嫌いねぇ~あの時そんな事言ってたっけ?」
いくみが訊ねたが確かに僕もそんな記憶がなかった。
「あの時はね、まだ水泡蘭を追うってなんか、テンションが高かった気がするのよ。」
朱音の言葉に確かにあの時はいきなり外に出た感じがあったから…
「先ずはバーベキューでしょ?楽しみ~」
桃のテンションが上がっている。
「キラー君の魔法で火を点けちゃえばいいんじゃない?」
彩希が僕の魔法で点火させようとしている。
「とりあえずさ、どうなるか判らないからみんな離れて!」
僕は兎に角魔法を使ってみた。
ドンッ!
「キラーちゃん!それ、水だし、穴空いてるし結構深いし、燃えてないじゃん!」
いくみの長い苦情だが、簡単に言えば僕の魔法から出たのはいつもの水。そして、地面に大きく深い穴を空けてしまった訳だ。
「キラー、火を出す時は野球の素振りみたいのしてからじゃなかった?前にそんな話をしていた気がするよ。」
ハカセに言われ、なんとなくそんな気がした。
「じゃ、じゃ、じゃあ!」
「キラー!じゃが多い!」すずかに突っ込まれた。
「兎に角いくよ!」気を取り直して僕は再びチャレンジ。
ドンッ!
「今度は火が出たけど、燃える前に穴空いてる!これじゃ無理だよ!!」
いくみに言われる迄もなくこの魔法ではバーベキューに向かない事が判明した。
「判りやすいけどその魔法は日常では使えないのが分かったわ。ほら、ライターあるから点けなさい。」
「彩希!ライターあるなら先に出してよっ!穴埋められないからみんな落ちないでよ!」
僕が穴から少し離れた場所で火を点けて準備を始めた。
さて、これからバーベキューからのキャンプになる。