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「あら!こんにちはー!!」
明るい声で挨拶してきたのは強盗団の一人、ルイアだった。
「この前、黒天が私の事をストーカーして、貴方達にやられたみたいだけれど、今回は一緒に連れてきてるわ。」
後ろからルイアより小さい男が出てきた。
「オマエ等、よくも!」
黒天はいきなり手裏剣を出そうとしたのを、
「お前の攻撃を跳ね返されたんだろ?文句言う権利は無いぜ!」
顔を包帯巻きにして、いや……手も全てである。
そうだ、僕の初めて火が出た時の犠牲者でもあるキョウレートだった。
「やぁ!久しぶりだね。キラーはシノメノのナイフを喰らいながら平気なのかい?はは、僕はキミの火でご覧の通りの身体さ!」
キョウレートの言葉の端々に少し恐怖を感じながら僕は鉄パイプを握り直した。
「キョウレート、黒天、きょうは貴方達にもチャンスをあげようとの姫様の言葉なので、しっかりしなさい。」
ルイアの言った姫様とは誰?
「アンタ達に姫様がいるの?誰?初めて聞いたわ。」
朱音が薙刀を構えながらルイアに問いかけた。
「ふふ、姫様は我々の姫様だ。死に行くオマエ等に関係は無いぞ!」
黒天は言いながらまた手裏剣を投げつけてきた。
「グッ!」
今回は僕の前に来たので普通に打ち返してあげた。前回同様黒天の腹部に手裏剣が刺さった。
「あの…そこの忍者とか気取ってる人、あまり考えが無いのかしら?」
すずかが鉈を構えながら黒天の踞った姿を見ていると………
「そうね、役に経たないのは要らないわ。」
ザン!と黒天の首が地面に落ちたのである。
「遅くなりました。初めて逢いましたけれど、なかなか強そうな方々ですね。」
落ち着いた口調で着物を着て明らかに動くには不釣り合いな格好をした美女が出てきた。
「私が、仕切らせて頂いております、オオチマイと申します。最上黒天はご覧の通り無駄な者でしたので、私の判断で無い者とさせて頂きました。」
話が柔らかいのだが、本当に恐ろしい話をしてきている。
「オオチマイですって!アナタでオチマイねっ!」
いくみが………
彩希が僕の隣で僕の事を包丁の柄で突いてきた。
「はっ!はっ!はっ!」
乾いた笑いしか出なかった。いくみの滑りは、なんとかならないのか?