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「クリスタルの話は世間ではまだ噂にしかなっていないのね。」
彩希がみんなの話をまとめながら包丁を磨いでる。まるで人食いばば…………睨まれた。
「うん!解っているのは4つあるって事と集まったら何かがおきるって事だけ。漠然としてるよね、水泡蘭せ………水泡蘭が持っていたのを見たけど野球のボール位だから持ち運びはできるもんねぇ~」
桃が何故かテンション高く話している。
「槍をちょっと新しくしたのだ!」
ニコニコしながら見せてきた。
「今度のはね、柄の部分が紅いんだよっ!朱槍だよ!あっ!朱音の朱を取っちゃうと悪いから紅槍だよ!」
なんか桃が一人でテンション上がりまくりだ。
なんだよ、『くれないやり』って。僕なんかおじいちゃんの杖から鉄パイプに代わって以来一度も………魔法を使えるから手離せなくなったのが事実なのだが。
「さっき、キラーちゃんが休んでいる間にみんなで買い物に行ったんだよっ!みんなキラーちゃんが怪我をしたって事で、装備の充実だよねっ!」
いくみが話しているが、僕の装備は据え置きらしい…
「キラーは防火マントと三角帽子があれば魔法使いみたいに見えるから彩希がそのままでいいって。」
すずかの鉈が以前より大きくなっている。
「私のマントをブシャーにあげちゃうから…」
彩希が未だにフェニックスにくるんだのを怨んでいたのか?そしたら、恐いぞ。
「今回の僕の盾は特注品だよ。ここの武器のオッチャンが話していたら造ってくれたんだ。」
ハカセの盾が周囲をびっくりさせる物になった。
傘である。
「そう、広げると盾になって尖端に槍を付けて、全て鉄製だから重いけど、かなり実用性があると思うんだ。」
なんかハカセの物凄く高そうなんだけど…
「ハカセ!これでみんなを守ってねっ!」
朱音がハカセの肩をポンっと叩くとハカセは真っ赤な顔をしながら
「はい。」
返事はそれだけかよっ!
相変わらず女子に弱い奴だ。