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「やっぱり洞窟の入口付近はコウモリの糞だかなんだかで臭い…」
騒ぐ朱美と大人しく息を止めて通る桃が対照的である。
「だってさっ、騒いでも鼻から臭いの来ちゃうんだから、息を止めて通るのが一番でしょ?」
なんか大発見をした子どもみたいに目をキラキラさせながら話す。
「桃ちゃん賢い!」
ハカセが誉めたら…
「あっ!そういうの要らないんで!」
軽く流されたハカセが可哀想。
「前よりは深い場所だよね。寒くなってきたよ。」
いくみが壁を見ながら歩いているが、この辺りからなんとなく鍾乳洞っぽさがある。
石灰岩でできた様な壁になってきたのだ。もちろん湧水?の様な水が壁をつたっている。
「結構神秘的だけれど、こんな場所に金塊なんか出ないんじゃない?」
彩希が壁に光を照らしながら言っていたその時、
「出るか出ないかは掘れば判るんじゃない?」
大きな鍾乳石の後ろから絶世の美女が出てきた。
「なんだ、ルイアじゃない。誰か金塊を探し当てたの?」
気軽に強盗団の一人に声をかける朱音に驚いた。
「さぁ?金塊って呼び寄せたらお客さんは騙されるんじゃない?ふふ…本当に出るかは自分で探せばいいのよ!」
ルイアは普通に受け答えをしてくれているのだが、僕達は少し警戒を強めた。
「そんなに身構えなくても私はすぐに行くわ。聞いた事のある声が聞こえたから話しただけよ。ここではいくらでも隠れてやり過ごせるから。」
ルイアの最後の言葉に気になる事をサラッと言っていたが今はなんとなく同感して僕達は奥へと進むのであった。