8.親睦の話
「今日屋上で食うのか?」
「うん。私の兄が一緒に食べようって」
「アオのお兄さん!?」
「うん。私、双子なんだ」
「マジで!?」
「楽しみーーー!!」
昼休みが始まって数分。
アオを先頭に、シロ、ニコ、コユの4人が屋上へ続く階段を上っていた。
昨日カイに誘われ、アオは友人達を連れて屋上で一緒に食べることにした。
アオとしては、自分の友達をいつかはカイに紹介したいと思っていた。
それに、カイの友人も来るようなので、彼らとも仲良くしたいとも思っているが、少し緊張していた。
気づけば、屋上に出る扉の前に立っていた。
「あたしが通ってた中学って屋上立ち入り禁止だったけど、ここはホントに良いわけ?」
「あっ……確かに。いいのかな?私、前に立ち入っちゃったけど……。……とりあえず、行こう」
アオは扉を開けた。
コユの疑問で弱気になったのか、動作がゆっくりだった。
「おっ!来た来た!お~~~~い!」
聞き覚えのある声がした。
コンクリート製のゴツゴツした床に、カイ、トウ、ショウが座り、食事をしていた。
「カイ!……あ、こんにちは」
見知らぬ男子2人に、アオはお辞儀をした。
するとそれが合図になってか、各々喋り出した。
「あ!トウだ~~♡」
「げっ!なんでニコが………!?」
「えーーーーー!?あれってアオちゃんだよなぁ!?あの美少女って噂の!」
「えっ!?びっ……!?」
「海老?」
「あぁ!あれが俺の妹のアオだ!」
「えーーーーーーー!?って、その右にいんのはコユーーーーーー!?」
「……あー、アンタパシリのショウ」
「そ、それに、左にいんのは、もしかしてあの最強って噂のシロ!?どーーーなってんだーーーー!?」
「トウーーーー!!!」
「お前!やめろ!抱きつくな!!」
屋上が一気に騒がしくなった。
シロは訳もわからずこの状況を見ていたが、ついに限界が来た。
「うるせェ!!!一旦黙れテメェらァ!!!!」
シロの一喝で、場は治まった。
7人は互いに自己紹介をしたあと、コユが司会になって食べながら話し始めた。
「それじゃあ、今さっきに騒動でいろいろよく解らなかったから、整理していきましょう。まず、ニコとトウの関係性から」
ニコはトウの隣に座り、幸せそうにしている。
憂鬱だと言わんばかりの雰囲気で、トウは説明しだした。
「幼馴染みなんだ。俺とニコは」
「へぇ。これはまた偶然ね」
「ラブラブだな~w」
「ぶっ飛ばすぞショウ」
「お前ら付き合ってんのか?」
「付き合ってねぇよ。コイツが一方的なんだよ。こんなにベタベタされていい迷惑だ」
「そんなこと言ってーー!トウ、ニコのこと好きでしょーーー!?」
「全然」
「がーーーーーーーん!!!」
「付き合えこの野郎!!!ニコちゃんが可哀想だろーーーー!!!!」
「俺の気持ちは無視かよ……」
「そういえばショウ、お前コユのこと知ってんのか?」
「え?………あ、あぁ」
話題がコユとショウの関係に移る。
ギクリとショウの体が震えた。
「あー、コイツあたしと中学一緒なの」
「へぇ~。コユちゃん、ショウ君と仲良かったの?」
「いや?全然。コイツ中学じゃお調子者っていうか……。なんかスクールカースト上位層の奴らにペコペコしててさぁ。マリたちはパシリに使ってたわ」
「パシリ…………」
「お前そんな小者だったのな」
「う、うるせぇ!!そうやって身を守ってたっつーか……て、ていうか上位層のお前が言うなぁ---!!」
「上位層とパシリの関係ってか」
「中学じゃそうだったけど高校じゃそうは行かないぞ!!俺には仲間ができたからな!!」
「俺たちを盾にしてるだけじゃね?」
「お前さてはアオちゃんをパシリにしてるな!?許さねぇぞ!!」
ショウはすっかり錯乱している。
ショウのその発言でトウは呆れ、シロは少しショウを睨んだ。
「コユちゃんはそんなことしないよ!」
「そう。もうそういうのはやめたの。マリたちとは縁切ったし」
「え…?」
「とはいえ、アンタには謝らないとね。ごめんね。嫌な思いさせて」
「い……いや、別にいいよもう!ていうかお前にパシリにされたことないぞ俺!なんでお前が謝るんだよ!」
「アンタメチャクチャあたしのこと責め立ててたクセに」
「あ、あれはマリたちの印象が強かったから……!」
「まぁ、もうこの件は終わりで良くね?なっ?コユ、ショウ」
「そうね」
コユとショウの話題は、カイが間に入って終わらせた。
「そ、そういうことなら、俺からもあるぞ!アオちゃん!シロと仲良いのか!?」
「え?うん」
今度はシロとアオについての話題になった。
トウは話を聞きつつも、先程からシロを警戒している。
「コイツが本当にシロなのか?白フードの」
「あぁ。間違いねぇよ」
「………シロ君、有名人なの?」
「俺に聞くなよ」
シロは気にすることなく食事を続ける。
「………あのー、アオちゃん?その、シロ君って喧嘩強かったりする?」
「うん。強いよ。1人で10人くらい倒しちゃうくらい。私、入学式の日に助けてもらって、それから友達になってくれたんだ。嬉しかったよ」
「あたしも驚いたわ~。まさかあのシロと友達になるなんて。ねぇ?ニコ」
「うん!シロ優しいよー!」
「うるせぇなぁ………」
シロは居心地が悪そうだ。
「アオが信じられる奴だっただけだ。。今まで俺に近づいてくる奴らは、俺を後ろ盾に使うようなのばっかだったからな。だがあの時はコイツ、自分より俺を優先した」
「誰かが痛い思いをするのを見るのは嫌だったから……」
「お前ちょっとは自分を大事にしろや」
「ごめん……。ところで、シロ君って有名人なの?」
「そりゃぁもう………」
コユたちは、シロに纏わる噂をアオに教え始めた。
「シロって、中学じゃ裏番だったって話よ」
「1人で同時に20人近く倒したとかな」
「ヤクザとやりあったって噂だぜ」
「へ……へぇ………」
アオはまじまじとシロを見る。
「そうなの?」
「お前簡単に詐欺に遭いそうだな」
「どういう意味!?」
「アオとシロの友情は解ったけど、やっぱ気になるのはアオとカイよね」
「俺?」
コユが話題をアオとカイについての関係に移した。
「アオって双子だったのね。カイ普通にイケメンだし、兄妹揃ってモテそう」
アオの顔が紅潮した。
「まぁな。アオは内気だからさぁ、みんな、よろしく頼むぜ!」
「もちろん」
「いいよ!」
「そうするか」
「俺になんでも言ってくれ!」
「任せろ。俺の初めてのダチだからな」
5人の中でも、シロは特に強くカイの頼みに応えた。
「みんな………ありがとう」
「よし!今日から俺たち友達だな!楽しく行こうぜ!!」
カイの言葉に、みんなが頷く。
7人の親睦が深まった。




