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八百万  作者: マー・TY
第六章
72/115

72.手の話

「パパ、大丈夫?」


「おぅ。にしてもまさか登ることになるなんてなぁ。参った」


 薄暗い雑木林の中で次元の歪みを捜索しているうちに、アオとガレンは山道に入っていた。

 ストップウォッチ状の機械を持ったアオに、重そうな荷物を持ったガレンが続く。


「……こっち?」


「そうみてぇだな」


 アオに機械を見せられたガレンは頷く。

 機械に示された数値がだんだん大きくなっていた。

 2人は数値が増える方向を見極めながら、どんどん進んでいった。


「!!」


 突然アオが立ち止まった。

 手に持つ機械の数値が、ガレンから教わった上限に達しっていた。


「ここみたい」


「そっか。そんじゃあ早速取り掛かるか」


 ガレンはそう言って機材を下ろした。

 アオは辺りを見渡す。

 現在地から左手方向に、木製の崩れた建物が見え、そこまでは土や落ち葉で覆われていた。

 アオは足下の土と落ち葉を手で払い除けてみた。

 そこから石畳が顔を出した。

 元は灰色だったのだろうが、茶色に変色しており、苔も少し生えていた。

 

「ここって……」


「うっし、準備できだぞ!」


 アオはガレンの方を注目した。

 そこにはアオが見たことがない2台の機械が、5メートル程の間隔を開けて置かれていた。

 2台の機械は共に同じ形をしていた。

 下部は三脚で支えられ、上部には横に飛び出した長い針のようなものが付いており、互いにそれを向け合っている。

 アオにはそれらが門のようにも見えた。


「その機械は、何?」


「え~っと、正式名称はD……何とかつったな。まぁ、『次元の狭間解放機』って言ってもいいだろ」


「次元の狭間解放機?」


「お前に貸した探知機とセットで使うことが多いんだよな。次元の歪みを見つけた時に、それを無理矢理こじ開けるのがこの機械の役目だ」


「……つまり、それで次元の狭間を作っちゃうってこと?」


「まぁそういうことだ。しかも自然のものよりは長く続く優れものだ。限りはあるけどな」


 そう言いながらガレンは、機械を起動させた。

 2つの機械の間に青白い光が走り、空間が歪みだした。


「す、すごい……」


「よし、後はカイ達があっち側からこれを見つければ──!?」


 ガレンは歪みを見て目を見開いた。

 突然歪みにひびが入った。

 空間の一部が欠け、霧のようになって消える。

 そして空いた箇所からは、青白く、黒く長い爪が生えた手が出てきた。


「なっ、何これ!?」


「ッ!!」


 ガレンは機械を操作した。

 歪みがだんだん縮まっていき、空間のひびも消えていく。

 飛び出してきた手は暴れるように開け閉めを繰り返した。

 そして歪みが完全に閉じた時、手は千切れて地面に落ちた。

 アオは真っ青な顔をして、手で口を押さえていた。

 

「手……手が…………」


「アオ、あんまり見ねぇ方がいい。……にしてもヤバかったな。こんな芸当人にはできねぇよ」


 ガレンは落ちた手をしゃがんで凝視した。

 手の切れた箇所からは、青黒い液体が流れ出ていた。




「──────ってぇ………」


 カイは畳部屋で目を覚ました。

 手足を縄で縛られている状態で、身動きが取れない。

 隣には倉田が同じ状態で倒れていた。

 

「目が覚めたねカイ君」


「倉田さん!ここどこだ!?コユは!?」


「ここは公民館内の客室だね。監獄とか流石に無いだろうし、倉庫も狭いもんな。あの時うっすら熊田さんの話を聞いたんだけど、それによるとコユちゃんはもうここにはいないかも」


「くそっ!やっぱここにいたのか!!」


 カイは八つ当たりでもするように、両足を畳に打ちつけた。

 縄を解こうと手を動かす。

 そんな様子を、倉田は前髪の隙間から覗く目から見ていた。

 

「抜けるのは難しいよ。硬く縛られてる。それに障子の陰で解るように、外には見張りがいる。これじゃあ………」


「いや、諦めねぇ!」


 カイは両手に力を入れた。

 縄から力尽くで手を抜こうと試みる。


「カイ君……それじゃあ君の手が………」


「千切れても行くぞ!俺は!」


「えっ………」


「ここでコユを殺させねぇ!あいつ連れて家に帰るんだ!それにこのままアオ達とお別れとか御免だ!!」


「カイ君……」


 カイは必死になって手を引き抜こうとする。

 しかしそれでもまだ抜かない。

 いくら気合いがあっても、どうにもならないことがある。


「くそぉ!!取れねぇ!!!」


「カイ君……そうだね………」


 倉田は微笑して頷くと、カイの後ろに回った。

 気合いは時に、人を動かすことがあるようだ。

 倉田はカイの手を縛る縄に齧り付いた。


「倉田さん!………よしっ!」


 2人は縄を解くのに集中した。

 倉田が歯を使い、必死になって縄を解きに掛かる。

 すると、だんだんカイの両手から縄が外れてきた。


「うおおおおおおおおお!!」


 カイは一気に手を引いた。

 そしてついに、カイの両手の縄が外れた。

 手はどちらも赤く擦り剥けていた。、


「おっしゃぁ!!」


「よし、次は足……」


 2人が足の縄を外しに掛かろうとしたところで障子が開き、2人の巫女が入ってきた。

 巫女はどちらも杖術用の棒を持っている。

 一人の巫女が、カイに棒で突きを繰り出した。


「ッ!!」


 突きのスピードは相当速い。

 しかし、カイにはその動きが見えていた。

 自由になった両手で棒を掴む。


「オラァ!!」


 カイは巫女から棒を強引に奪い取った。

 そして全体重を前方に向け、横スイングで巫女の首を打った。

 残った一人が棒を振り下ろしてきたが、カイはそれを素早く同じ棒で打ち返した。

 巫女の手から棒が弾き飛ぶ。

 その巫女が怯んだところを見逃さず、カイは鳩尾を突いた。

 カイは足を縛られた状態で、武器を持つ巫女2人を沈めてしまった。

 

「なんて運動神経だ………」


「早く足の縄解かねぇと!!絶対まだ巫女いるだろ!!」


 カイは両足に巻かれた縄を解き出す。

 両手が自由になったことで、先程よりも手間は掛からなかった。

アオとガレンの探索パート、考えるのにちょっと苦労しました。やっぱ原作の方に書いてない話書くの大変だなぁ。

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