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八百万  作者: マー・TY
第六章
64/115

64.話が合う話

「はぁ~。美味し~。生き返る~♪」


 コユは二段積みになったアイスを舐めて笑った。

 ここは多くの人が利用するデパート。

 コユが買ったアイスクリームは、その駐車場近くに留めてある車型のショップで売られている。

 人気アイスクリーム店の出張販売という訳だ。


「そっかぁ。もうアイスが美味しい季節なのね」


 コユは空を見上げた。

 空一面に青色が広がっており、その中で太陽がギラギラと熱を発しながら輝いている。

 あまり日焼けをしたくないコユは、日陰に移動した。


「日焼けするのはいいけど、焼きすぎたら痛いのよね~。溶ける前に食べよ」


 コユは上段のチョコミントアイスに齧りついた。

 ちなみに下段のフレーバーはチョコレートだ。


(やっぱり美味しい!)


 コユはチョコミントアイスを少しずつ味わいながら食べていった。

 そして完食し、次のストロベリーアイスを食べようとした。

 すると、


「お、コユ!」


「へ?」


 コユはアイスから目線を上げた。

 目の前にカイが立っていた。

 カイはコユよりひとつ多い、3段積みのアイスを持っていた。


「奇遇だなぁ。コユもアイス食ってるのか?」


「うん。カイ、アンタも?」


「最近暑くなってきたからなぁ。食いたくなって買った!」


「ふぅん……」


 コユはカイのアイスをまじまじと見た。

 コーンの上に乗る、丸い3つのアイス。

 フレーバーは、オレンジ、チョコチップ、そしてチョコミントだった。


「アンタもチョコミント頼んだんだ」


「あぁ。食ったことなかったからな。色も珍しいし。あ、お前も頼んだのか?」


「うん。チョコミント美味しいわよ」


 コユはニッと笑ってそう言った。




 アイスを食べ終えたカイとコユは、一緒に帰路を辿っていた。


「へぇ、メタルマンの最新作観たのか!」


「うん。敵との戦闘シーンとか最高だったわ~」


 コユは楽しそうに話しながらも、意外に思っていた。

 好きな映画。

 好きなスポーツ選手。

 好みの音楽。

 驚くほどカイと趣味が似ていたのだ。


「あたし達って、けっこう話合うのね」


「そうだな!おもしれぇなぁ!」


「何それw……はぁ、なんかアオが羨ましいわ」


 そう言いながらコユは、カイの顔をチラリと見た。

 カイは顔が整っている方で、よく笑っている。

 いつ頃かコユは、カイの笑顔が好きになっていた。

 その笑顔には子供っぽさがあり、そこに何となく可愛さを感じるのだ。


「そうだ、アオは今どうしてるわけ?」


「多分家で勉強か読書だぞ。あいつ休日はほとんど家でのんびりしてんだよ」


「アオらしいわね」


 コユの脳内に、ジュースを飲みながら読書に励むアオの姿が容易に浮かんだ。

 コユにとってアオは友達であり、恩人のような存在だ。

 今まで二度も危機的状況を助けてもらっており、そのうち一回は友達になる前の出来事だ。

 コユは友達になったその日から、アオのことを大切にすると心に誓った。

 アオのような人物には、もう一生逢えない。

 そう感じたのだ。


「………そういえば」


 アオについて、コユには気になることがあった。


「どうした?」


「アオって……いや、男のアンタに話していいか解んないことなんだけど……」


「えぇ~?話してみろよ。気になるじゃんか」


「………大丈夫?アンタ、アオを襲ったりしない?」


「いや俺を何だと思ってんだよ」


 珍しくカイからツッコミが入る。


「まぁ、大丈夫かな。兄妹だもんね……」


 コユは少し深呼吸をして話し始めた。


「体育の始めと終わりで見るんだけどさぁ、アオって、ブラの上に肌着着てるのよね」


「………そうなのか」


「いや、ブラだけの時も一回あったんだけどね。その時は、誰もいない方を見て着替えてたわ。それで、後ろから軽く肩叩いたんだけど、物凄く驚いてて………まぁ、それだけよ」


 コユは再びカイの顔を見た。

 カイは少し暗い顔をして、コユから目を反らしていた。


「あいつ、シャイだからな。恥ずかしいだけだろ」


「そっか。……そうよね」


 そう言いつつもコユは、本当にそうなのかと疑問に思っていた。

 更衣室で、後ろからアオの肩を叩いたあの日、アオは怯えた表情でコユを見ていた。


(………あんまり詮索しない方が、いいのかな)


 コユは青色の空を見上げてそう考えた。


“ドッ!!” 


 その音に、コユは反応した。

 何かが落ちるような音だった。

 音的にも、重いものが落ちたように思える。


「何だ?今の音」


「……あっちから聞こえたわ」


「とりあえず、行ってみようぜ!」


「あっ、カイ!」


 カイが音のした方に走り出した。

 コユはそれを追う。

 そしてこれが、新たな怪異事件の幕開けとなった。

お待たせしました。なかなか脚本練るのが大変で……。

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