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八百万  作者: マー・TY
第五章
54/115

54.頼まれる話

「日之道さんはこれ。冬庭君はこっちをお願いね」


 アオとシロは図書室で、図書委員の仕事をしていた。

 司書に頼まれた通り、2人は返却済みの積み重なった本を持つ。

 これからその本達を、元あった本棚に戻すのだ。


「面倒くせぇ……」


「これもお仕事だから。……手分けしたらすぐに終わるよ」


 2人はそれぞれ、本の背表紙に貼られた番号を見て本棚に向かった。


「これはこっち。これもここ。これは………、あっちだ」


 村山から受けた調教の効果も消え、アオは一人で外出できるまでに回復した。

 久しぶりの図書委員の活動のためか、とても張り切っている。

 図書室によく来ていたおかげか、持っている本が入る本棚の位置は、だいたい解っていた。


「先生、終わりました」


「あら、早かったわね。それじゃあ残りも頼める?」


「はい」


 返却済みの本はまだまだある。

 アオはそれらを次々手に取ると、本棚に向かう。

 そして全て直すと、また本を取りに向かう。

 それの繰り返しで、返却済みの本は全て本棚に戻った。


「2人共、お疲れ様」


「いや、ほとんどコイツが………」


「えへへ……」


「それじゃあ、後は2人で貸し出しと返却の手続きを頼もうかしら」


「はい、わかりました」


 司書は他の仕事を済ませるために、奥の部屋に入っていった。




「やぁお2人さん。お仕事お疲れ様。アオちゃんはすっかり良くなったみたいだね」


 アオとシロがしばらく受付で座っていると、クロが入室してきた。

 クロは係がない日でも、いつもここに来る。


「お前いつもここ来てんのか?」


「まぁね。アオちゃんもほぼ毎日来てるよ。ね?」


「うん」


「へぇ……。つーかお前、メチャクチャ女子に囲まれてたのに今はそうじゃねぇんだな」


「そうだね。彼女達も解ってくれたみたいだ」


「マジかよ。お前の周りにいた女、話が通じねぇバカしかいねぇと思ってたが、意外だな」


「辛抱強くしていたら、誰でも解ってくれるよ」


 シロとクロが話している声を、アオは心地良く聞いていた。

 そして読んでいた本を閉じ、椅子から立つ。


「あ?どうした?」


「読み終わったから、また別の本を探してくる」


「そうか。いってらっしゃい。良い出会いを」


 アオは読み終わった本を持ち、早速本棚に向かった。

 読み終えた本を戻してから、新しいものを探す。

 どの本にしようか迷っているうちに、アオは奥の本棚まで来ていた。

 そしてある本に目が留まる。


『モンスター大全』


 表紙にはそう書かれていた。

 パラパラとページを捲ると、ドラゴンや妖精等、想像上の生き物のイラストがたくさん描かれていた。


「……おもしろそう」


 アオは小説を読むことが多かったが、この本を持っていくことにした。

 せっかくシロとクロがいるので、3人で一緒に楽しもうとも思っていた。


「男の子が好きそうなのを見つけたわね」


「!?」


 突然声を掛けられ、アオは驚く。

 隣に一人の女子生徒が立っていた。

 彼女は黒髪ロングで黒縁眼鏡、そして季節外れの冬服を着ていた。

 アオは彼女と出会うのは、初めてではなかった。


「フフフ。あなたと会うのは二回目ね。最初はあの廊下だったかしら」


「…………あなたは?」


「私はシオン。フフフ。あなたが思っている通り、幽霊よ。ばぁ♪」


「えっ……えっと……」


 シオンはお化けの真似をしてみせた。

 アオは混乱している。


「フフフ、ごめんなさい。そりゃ驚くわよね。幽霊なんだもの。早く成仏しろって思ってるわよね?」


「い、いえ。そんなことは…………」


「相変わらずいい子。そんないい子のあなたに、頼みたいことがあるの」


「私に?」


 アオは自分を指さす。


「そう」


「えっと、……私は何をすれば………」


「怖い話を、たくさん集めてきてくれない?」


「怖い……話を……………?」


 アオは首を傾げた。

 何故シオンがこんなことを頼むのかが解らなかった。


「あら、怖い話は苦手だった?」


「そ、そんなことはないですけど……。あの、どうして怖い話を?」


「私はね、怖い話で力をもらって、それでこの世に居続けているの。だけど、最近ちょっと体が重くて……。とにかく、私はまだ成仏するわけにはいかないのよ」


「それは、どうして?」


「フフフ。それじゃあ、あなたが怖い話をいっぱい持ってきてくれたら、お話しましょうか」


 シオンはアオに交換条件を持ちかけてきた。

 「まだ成仏するわけにはいかない」

 シオンにはまだ、この世に未練がある。

 アオはシオンに、未練を晴らしてから成仏してほしいと思った。


「わかりました。ご期待通りの怖いものを持ってこれるかどうか、不安ですけど………。友達に訊いてみます」


「フフフ、楽しみにしてるわ。できればあなたの怖い話も聞きたいわね」


「私の?」


「そう、あなたの。怖い話が集まったら、またここに来て私の名前を呼んでね。それじゃあ、また会いましょう」


 そう言ってシオンは、アオに手を振りながら消えていった。

アオのシオンとの出会いは、第二章第11部『廊下での話』で見られます。

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