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八百万  作者: マー・TY
第四章
45/115

45.入っていく話

 隠神高校の1年生達が乗ったバスは、目的地であるこがらし公園に到着した。

 こがらし公園は山に囲まれた場所に位置する、広い公園だ。

 池やキャンプ場、弓矢の的当てコーナー等、いろいろな場所があるが、名物になっているのが花壇である。

 公園の3分の1を占めていると思われるその花壇には、様々な花が植えられている。

 この季節は、バラ、アヤメ、ユリ、ラベンダー、マリーゴールド等、色鮮やかな花がたくさん咲いていた。

 教師達から事前に注意事項を聞いたニコ、コユ、シロの3人は、早速花壇に来ていた。


「お花綺麗!」


「確かに。こうしてよく見てみると綺麗よね」


「何で俺まで……」


 シロはつまらなさそうにしていた。

 そんなシロを、コユはジトリと見つめる。


「そんなこと言わないの!アオが来られなかった分、しっかり堪能しなさいよ!」


「いや、俺が花畑って………」


「え?………あぁ」


 コユ自身接しているうちにすっかり忘れていたが、シロはその辺の不良に恐れられているような存在だ。

 顔は良い方だと思うが、目つきは悪い。

 そんなシロと花畑は、あまりにもミスマッチだった。


「アンタ、一応自覚してたのね」


「うるせぇな」


「まぁでもいいんじゃない?花を愛でる不良って、それはそれで趣があるわよ」


「趣ってお前……」


「いいからいいから。ちゃんと花を撮りなさいよ。誰が一番上手く撮れるか勝負しましょ。ねぇニコ」


 コユはニコがいる方に顔を向けた。


「あれ?」


 てっきり目線の先で、ニコが楽しそうに花の写真を撮っていると思い込んでいた。

 しかしそこに、ニコの姿はなかった。


「あの娘どこ行ったのかしら」


「案外近くにいるんじゃねぇか?」


 コユとシロは、花壇を巡りながらニコを探した。

 しかし、ニコは見つからなかった。

 コユは少し心配する。


「さっきまで花に夢中だったのよ?まだ見てない花もあったのに、こんなにすぐ飽きる?」


「……確かに妙だな。よし……」


 シロはスマホを起動させた。

 LINEを開くと、カイ、アオ、シロ、ニコ、コユ、トウ、ショウ、そして最近加入したクロの8人で構成されたグループにメッセージを送った。




 一方こちらはこがらし公園の池。


「………ん?」


 トウはLINEの通知音に気づき、スマホを起動させてメッセージを読んだ。


『ニコがどっか行った。見てねぇか?』


 メッセージはシロからだった。

 それを確認したトウは、溜息を吐く。


「どうしたトウ?」


「こんな自然の中でLINEってお前……」


 カイとショウが、トウに近寄る。

 カイはウシガエルを持っていた。


「ニコが迷子になったようだ。LINE来てるだろ?」


「え?あ、ホントだ。グループで来てるな」


 ショウもスマホをポケットから出して確認した。

 ショウが見た時点で、既読は3つになる。


「ニコの奴こんな拓けた公園で迷子かよ」


「あはは!あいつらしいな!」


「まったく、あいつは変わらないな………ん?」


 トウは遠くにニコの姿を確認した。

 ニコは木々が生い茂った場所に入っていくところだった。


「見つけた」


「え?どこだ?」


「今山の入り口みてぇなところに入っていった。連れ戻してくるから、お前らは公園の管理事務所に行っとけ」


「は?何で?」


「カイが持ってるウシガエル、外来種だからな。そのまま離すわけにもいかんだろ」


 それだけ言うとトウは、ニコが行った方に走っていった。


「こんな時でも真面目だなあいつ」


「あぁ。でも俺はトウがいねぇと止まれねぇな」


 ショウとカイはそう言いながら笑い、トウの背中を見送った。




 木々が生い茂っている道を、ニコは歩いていた。


「こっちからだよね?」


 ニコは花の写真を撮っている最中、何者かの声を聞いた。

 まるでニコを呼んでいるようだった。

 ニコはそれに誘われるように、山の入り口に入っていった。

 呼び声はまだ、微かに聞こえている。


「誰かなぁ?……うゆ?」


 ニコの目線の先には、木製の吊り橋があった。

 骨組みに使われている木材には、苔が生えている。

 橋の下は川になっており、川底から橋まで5メートル程離れていた。

 呼び声はこの橋の先から聞こえてくる。


「うゆぅ………落ちないよね?」


 ニコは躊躇しながらも、ゆっくり渡っていく。

 橋は意外と頑丈にできていた。

 多少揺れたが、落ちることなく渡りきれた。


「やった!よ~し、進むぞ~!」


 ニコは自身が付いたようで、魔法少女系のアニメのオープニング曲を歌いながら進んでいく。

 そんなニコを木の陰から、灰色の人のようなものが見つめていた。

出てきた花の花言葉


バラ………「愛」「美」

アヤメ………「よい便り」「メッセージ」「希望」

ユリ………「純粋」「無垢」「威厳」

ラベンダー………「沈黙」「期待」「不信感」

       「疑惑」「私に答えてください」

マリーゴールド………「嫉妬」「絶望」「悲しみ」

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