表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
八百万  作者: マー・TY
第一章
4/115

4.幼い話

「アンタさぁ、うざいんだけど」


「うゆ?」


 そのやり取りは昼休みの時間、1年2組の教室で起こった。

 机をくっつけて昼食を楽しんでいた、クラスの上位層に君臨している女子のグループ全員の目が、1人の小柄な少女に向いている。


「ウチら別にアンタと仲良くなりたいわけじゃないんだけど」


「え……!?」


 リーダー格の女子の発言に、小柄童顔の少女は仰天している。


「なんで!?なんでなんで!?ニコ何か悪いことした!?」


 手を鳥のようにバタつかせて、一人称が“ニコ”の少女は訊いた。


「まずさぁ、普通にぶりっ子とかウザいんだって。何それ?作ってんの?」


「作ってる?」


 ニコは首を傾げた。

 その仕草がリーダー格の女子の苛立たせた。


「アンタのそういうところが気に入らないっつってんの!高校生になってガキの真似!?恥ずかしくないわけ!?」


「確かにガキだわw」

「うざーいw」

「どっか行って。ガキが移るw」


 今度はリーダー格だけでなく、1人を除いたメンバーたちが責め立てた。


「たがらさぁ、さっさと消えなよ」


「え……で…、でも……」


「消えろって!」


 そう言ってリーダー格の女子は、まだジュースが半分入ったペットボトルをニコに投げつけた。

 それがニコの頭に当たる。


「う…。うわ~~~~~~~~~~~~~ん!」


 ニコは泣きながら教室から出て行った。


「やりすぎよ。アンタたち」


 ニコを唯一責め立てなかった女子が、他のメンバーに注意する。


「何?コユ、アンタあいつの肩持つわけ?」


「そんなこと言ってないじゃん。言い方。泣かすことなかったでしょ?」


「いいじゃん別に。あんなのどうでもいいし」

「言えてるw」


 そんなグループの態度に、コユと呼ばれた少女は溜息を吐いた。




 ニコは決して、ぶりっ子を演じているわけではない。

 「可愛く演じれば、守ってもらえるしモテる」なんて発想は、彼女からは出てこない。

 これがニコの“素”なのだ。

 ニコは、身体的には周りと同じように成長しているが、精神、心は幼い頃から全く成長していないのだ。

 その幼さは、小学校低学年くらいまでは通用したが、高学年になってからは、だんだん煙たがられるようになっていった。

 ただ、良い意味で言えば“純粋”だ。

 ニコはクラスの上位層のグループだけでなく、クラスメイトほぼ全員に話しかけに行っていた。

 それはニコの、「みんなと友達になりたい」という願いから来ている。


(ダメなのかなぁ?ニコ、ダメなのかなぁ?みんなと仲良くしたら、ダメなのかなぁ?演じてるって、何?わかんないよぉ…)


 ニコはしょんぼりと落ち込んで帰路を歩いていた。


「痛いの痛いの飛んで行けー!」


「うゆ?」


 聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 公園からだった。

 ニコは様子を見に行く。

 そこには、小学生くらいの少女と、クラスメイトの男女がいた。

 女子の方はアオ、男子の方はシロという名前だった筈だ。


「お姉ちゃん、ありがとう」


「うん。絆創膏持ってて良かった」


「もう転ぶなよ」


「うん。ありがとう!」


 少女は遊具で待っていた友達のところに駆けていった。

 そんなアオとシロを見て、ニコの目がパッと輝いた。



「お弁当、ニコも一緒に食べていい!?」


「え!?……う、うん」


「なんだお前?」


 翌日の昼休み。

 ニコはアオとシロに声を掛けていた。

 勢いに押され気味だったが、アオは了承した。

 そして3人で一緒に食べながら話すことになった。


「入学式自己紹介したけど、改めてするね。私、日之道明生。よろしくね」


「冬庭志路だ」


「うん!アオ!シロー!」


「それで……えっと、ニコちゃんって呼んでいいの?」


「うん!」


「あァ?お前そんな名前だったか?」


 アオとシロは、“ニコ”という呼び名について疑問に思っていた。

 ニコの本名は、七楽色葉という。


「ニコのね、好きな人が付けてくれたの!いつもニコニコしてるからニコ!」


「へぇ…。素敵だね」


 そう言ってアオは微笑む。

 逆にシロは首を傾げた。


「お前、なんで俺らのところに来た?」


「ニコね、みんなと仲良くなりたいんだけど、みんな、ニコと仲良くしたくないみたいなの」


「だろうな」


「うゆっ!?」


「シロ君!」


「わりぃ……」


「まったくもう…。ニコちゃん、私たちと友達にならない?」


「ふぇ?」


 アオの急な提案に、ニコは目を丸くする。


「欲しいんだろ?」


 シロもやれやれというような感じで言った。


「ニコでいいの!?」


「私たちで良ければ、歓迎するよ」


「!!!……ありがとーーー!!!!」


 ニコは跳んで喜び、アオに抱きついた。


「アハハ。ニコちゃん可愛い」


「騒がしいのが増えたな」


 シロが珍しくクスリと笑った。

キャラ紹介


ニコ

本名 七楽ならく 色葉いろは

性別 女

学年 高1

誕生日 2月21日

趣味 お絵描き

好きな食べ物 プリン

嫌いな食べ物 ニンジン


明るく無邪気で天真爛漫。

精神が幼児のときより成長していない。

普通誰も気づかないようなことを察知できる鋭さを持つ。

絵の腕はピカイチ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ