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八百万  作者: マー・TY
第三章
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37.お仕置きの話

 こっくりさんで起こった、10円玉が突然暴走した現象。

 原因は解らぬまま、その日は解散となった。

 家に帰ると、珍しくガレンがいた。


「あれ?父ちゃん今日早くね?」


「犯人から連絡があるかもしれないからな。それに、サラが心配でな」


 サラはただ、黙々と夕飯の支度をしている。

 いつもは楽しそうに料理をするのだが、今はそうは見えない。

 魂そこに在らずな状態だった。


「カイは今、どうしてるんだ?」


「俺は俺達なりに動き始めたところだ。待ってるだけじゃ何も始まらねぇしな」


 好戦的な目をするカイを見て、ガレンは苦笑した。


「やっぱり手を出し始めたかぁ。“俺達”ってことは友達も一緒っぽいな………。まぁ、確かにお前らにしかできないこともあるかもしれないよな。それで、何かあったか?」


「………あったっちゃあったな」


「そうか!詳しく聞かせてくれ!」


 信じるかどうかは別として、カイは今日の放課後行ったこっくりさんでの出来事を話した。

 ガレンは意外そうな顔をした。


「こっくりさんで捜索かぁ。すげぇこと考えたな」


「あぁ!とにかく凄いんだ!俺が昨日何してたかも当てたんだ!……って、信じてないだろ?」


「いや、信じるぞ」


「え?」


「俺が所属してる部署、そういうのを扱ってるからな」


 ガレンは淡々と応えた。

 さらに続ける。


「怪事件多いからなぁ、この街は。ネット上で作られた都市伝説の怪物なんかが実体化するような所だしな。だから特務課は作られたんだよ。俺らが相手するのは怪異ばかりだ」


「すげぇな!……ん?じゃあこっくりさん捜索に使ったりするのか?」


「それができれば楽なんだけどなぁ」


 ガレンは難しそうに眉を潜めた。


「こっくりさんはどうも例外らしくてな。選ばれた奴がいねぇと、本当に呼び出すことはできないらしい。俺らも何度か試したんだが……できなかったな」


「え?普通はできないのか!?」


「あぁ。お前の友達、特殊な奴がいるんだな。つーか、結局呼び出せてもアオの居場所は解らなかったんだよな?」


「あぁ、こっくりさんって何でも知ってるって聞いたけどなぁ」


「間違っちゃいないな。この場合、こっくりさんが教えられない何かが、アオの居場所にあるってことだな」


「何かが邪魔してるのか!?」


「何か強いものがそうしている可能性があるな。……俺からもいいか?」


「?」


ガレンの表情が険しくなった。


「過去の事件簿を探ってて解ったことだが、……アオと同年代くらいの少女が行方不明になる事件が、過去に4度起きている。ここ数年でな」




 午後8時頃。

 通常位置とドアの下。

 2つある鍵穴に鍵を差し込んで回す。


「帰りましたよ。アオさん」


 そう言いながら玄関のドアを開け、家に入った。

 その時、視界の隅に白いワンピースを着た少女が映った。

 今まさに、花瓶を振り下ろそうとしている。


「おっと」


 村山は瞬時に振り下ろされた花瓶を、持っていた鞄で防いだ。

 その拍子に花瓶が落ち、粉々に砕け散った。


「あっ………!」


「おやおや。惜しかったですねぇアオさん」


 村山は不気味に笑う。

 アオを殴り倒し、痛がっている隙にドアを閉め、鍵を掛けた。

 割れた花瓶の破片をポケットに仕舞うと、アオの手を引き、寝室に連れていった。

 ベッドにアオを突き飛ばすと、笑いながら話す。


「どうやら昨日の調教が中途半端だったようですねぇ。まさか待ち伏せして殴り掛かって来るとは、驚きましたよ。ですが一瞬躊躇しましたよねぇ?さすがはアオさん。お優しい」


「………あなたのことは絶対に誰にも話しません。なので……お家に帰してください」


 涙目で懇願するアオ。

 その頬に触れた村山は、うっとりとしていた。


「あなたは謂わば、私の所有物です。とても貴重なね。手放せるわけないじゃないですか」


「先生…………」


「それでは、先程の罰に加えて、昨日より上の調教をしましょうか」


 村山は左手でアオの右手首を掴み、掌を表にした。

 そしてポケットから先程拾った花瓶の破片を取り出し、アオの右手に突き刺した。


「ああああああああああああああああ!!!!」


 あまりの痛みにアオは暴れるが、村山は右手を離さない。

 刺さった破片をグリグリと動かし、痛みを拡散させていく。

 その度にアオは泣き叫び、許しを乞う。

 村山が破片を引き抜く頃には、ベッドは血で汚れていた。

 真っ赤になった自分の右手を庇うアオの肩に手を置き、村山は告げる。


「泣き叫ぶあなたは魅力的ですが、まだまだ始まったばかりですよ?」


 アオはその村山の声から、かつてのいじめっ子達の姿を思い出した。




 時刻は午前2時。

 ベッドに仰向けになって倒れたアオの目からは、精気が感じられなくなっていた。

 真っ白なワンピースには血が滲み、肌の露出した部分には痣が目立った。


「ふぅ。少しやり過ぎましたか。まぁ、この程度の怪我ならすぐに治るでしょう。これくらいにしておきますか。せっかくですのでいい場所に連れていってあげます。アオさん、私に着いて来なさい」


「………」


 アオは自分で立ち上がると、黙って村山の指示に従った。

 今のアオは、村山に従うことしかできない。

 村山に反発することを、本能的に恐れるようになっていた。

 村山は物が沢山置かれた部屋に着くと、床にある取っ手を引いた。

 すると床下に、階段が現れた。

 村山はアオを連れて、階段を下る。

 アオは空気の重さを感じていた。

 暗い部屋に到着すると、灯りを点けた。


「!?」


 そこには4人の少女が、それぞれショーケースに入れられた状態で立っていた。

 少女達の格好は、セーラー服、チャイナドレス、ノーショルダーのTシャツ、ベビードールと、様々だった。


「美しいでしょう?これでも彼女達は死んでるんですよ?防腐処理が上手くいってましてね」


「………」


 アオは完全に恐怖で支配されていた。

 そんなアオの頬舐めると、村山は耳元で囁いた。


「アオさん、あなたは今ままで一番美しい。なのであなたにはできるだけ、生きていてほしいのです。解りますよね?」

こうでもしないとこっくりさんがチート過ぎるんですよね。

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