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八百万  作者: マー・TY
第三章
36/115

36.掴めない話

 カイ達7人が団結した一方、隠神高校の学食で司波が一人、うどんを啜っていた。


「おや、司波先生。お隣よろしいですか?」


 そこに、トンカツ定食が乗ったプラスチック製のお盆を持つ村山がやってきた。


「村山……」


「それじゃあお隣失礼しますね」


「何も言ってねぇだろうが」


 村山は司波の返答を待つことなく、隣の席に座った。

 司波としては1人で静かに食べたいところだが、村山は話しかけてくる。


「元気がないですね。アオさんのこと、やはり心配なんですか?」


「………まぁな」


 落ち込みを誤魔化すためか、司波はうどんを啜る。


「………何やってるんだろうなぁ、俺は。週に一度、日之道と話をして、……だんだんあいつのことを理解できてきたってのにな。いや、理解したつもりでいたっつった方が正しいか」


「ふむふむ……」


「授業に集中しろとか言われてもよぉ……。できるわけねぇだろ。ウチの生徒がどんな状況かも解らねぇんだぞ」


「……そうですか」


 ご飯を頬張りながら、村山は司波の話を聞いていた。

 そんな村山を、司波は横目で見ていた。


「村山、お前はどうなんだ?随分とお気楽そうだな。お前は日之道を随分と気に入ってたようだが?」


「む……?」


「そういえばお前、今朝は眠そうなのに随分とご機嫌だったよな?」


 村山は噛んでいたトンカツを呑み込み、いつものようにニヤリと笑った。


「心外ですねぇ。心配に決まっているじゃないですか。学校で彼女と話せないのは寂しいものです」


「………学校で?」


 司波の眉毛がピクリと動いた。


「当然じゃないですか。アオさんとは学校でしか会えないのですよ?もしかして先生、私を疑ってるんですか?」


「………いや。悪かったな」


 司波はスープを飲み干すと、器を持って席を立った。


「警察はまた来るらしい。その時は全力で力になるつもりだ」


「そうですね。私もそうすることにします」


 司波は村山の返しに応えることもなく、食器の返却口に歩いていった。

 村山は気にすることなく、食事を続けた。




 放課後、カイ達7人は、1年1組の教室に集まっていた。

 カイの机の上に、こっくりさんの儀式に使う用紙と10円玉が置かれる。


「小学生の時流行ったわよね。まさかアオを見つけるためにやることになるなんて……」


「誰かが動かしてただけだったよな?」


「本当に効果があるならやる価値はあるよ。早速やろうか」


 流石に7人全員の人差し指は多いというわけで、代表してカイ、クロ、シロの3人が鳥居の絵の上の10円玉に指を置いた。

 そして3人は呪文を唱えた。


「こっくりさんこっくりさん、どうぞおいでください。もしおいでになられましたら、『はい』へお進みください」


 クロに習った通り、カイとシロも声を合わせた。

 しかし、何故か10円玉は動かなかった。


「おい、動かねぇぞ!?」


「………もう1回唱えてみようか」


 3人は再び呪文を唱えた。

 それでも10円玉は動かなかった。


「おい、本当に動いたんだろうな?」


「あぁ。あの時は確かに……」


「実はお前らが勝手に動かしてただけしゃねぇのか!?」


「何だと?お前に責められる筋合いはないぞ!」


「ホントに動いたもん!」


 あまりの変化の無さに、シロとトウ、ニコの言い合いが始まった。

 それをカイが宥めに入る。

 その間、クロが少し考えてから、提案した。


「よしニコちゃん、シロ君と交代だ」


「え?ニコ?」


 ニコは不思議そうな顔をした。


「でも、途中で指を離したら危ないんだよ?」


「大丈夫さ。10円玉が動いてないんだから、こっくりさんはまだ来てないよ」


「あ、確かに!じゃあシロ、代わって~」


 選手交代でニコが入り、クロ、カイと共に、呪文を唱えた。


「こっくりさんこっくりさん、どうぞおいでください。もしおいでになられましたら、『はい』へお進みください」


 すると奇妙なことに、10円玉が鳥居から「はい」へ移動した。

 クロ以外の6人は驚く。


「動いた!なんで!?」


「まぁいいじゃないか。来てくれたんだし」


 クロが全員を一旦落ち着かせたところで、10円玉が鳥居に戻った。


「試しにひとつ訊いてみよう。こっくりさんこっくりさん、カイ君は昨日の夜、何をしていましたか?」


 10円玉は五十音に向けて動き出し、『ちちとのつうわ』と示した。

 昨日のガレンとの通話を当てられ、カイは驚いた。


「すげぇ!当たってる!なんで知ってんだ!?」


「こっくりさんは何でも知ってるのさ」


 3人はこっくりさんを一旦鳥居に戻した。

 いよいよ本題に入る。


「念の為訊いておくよ。こっくりさんこっくりさん、アオちゃんを誘拐したのは村山先生ですか?」


 10円玉は「はい」へ移動した。


「合ってるね。こっくりさんこっくりさん、鳥居の位置までお戻りください」


「なぁ!アオは生きてるよな!?」


「あ、カイ君そんな……」


 10円玉は急かすカイに動じることなく移動する。

 一度鳥居に戻った後、再び「はい」に到着した。


「そうか、生きてんのか。……よかった!」


 カイは安心したようで、胸を撫で下ろした。

 その後、今のアオの状態訊いた。

 アオは現在眠っているらしい。

 こっくりさんに鳥居に戻るようお願いしたところで、シロが次の質問をした。


「こっくりさん、アオは今どこにいる?」


 これが解ればアオを救出できる。

 こっくりさんなら知っているはず。

 そう思ったが、10円玉は動こうとしない。


「……あ?なんで動かねぇんだ?」


「聞き方がダメだったのかもしれない。こっくりさんこっくりさん、アオちゃんは今、どこにいますか?」


 クロが訊いても結果は同じだった。

 動かない10円玉に、今度はニコが頼む。


「こっくりさん、アオは大切な友達なの!助けたいの!だからお願い!教えて!アオはどこにいるの!?」


 熱の籠もったニコの頼みに応えるためか、10円玉がゆっくりと動き出した。

 かと思うと、速さが増し、五十音の文字の周りをグルグルと回り出した。

 カイ、クロ、ニコは、指が離れないように必死に食いつく。

 その後、五十音の文字の上をデタラメに走り回ったあと、10円玉は鳥居に戻った。

 7人は不気味さを感じていた。


「ちょっと、これどういうことなの!?」


「ヤバかったな、今の動き」


「……とりあえず、儀式を終了しよう」


 シロ、トウ、コユ、ショウが見守る中、カイ、ニコ、クロがこっくりさんを帰す。

 それらの様子をレオンは教室の外から見ていた。


「………」


 レオンは無言のまま、歩き去っていった。

サブタイトルに困る今日この頃……。

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