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八百万  作者: マー・TY
第三章
33/115

33.父との話

「くっ………」


「あ、気がついたようだね」


「……なんでこんなトコに」


 隠神高校の保健室で、シロは目を覚ました。

 側に見覚えのある男子生徒が座っていた。


「お前は……確か……」


「クロだよ。覚えていてくれたのかぁ。嬉しいなぁ」


「学校出たってのに、なんで保健室に……」


「君が道端で倒れているのを見つけてね。君の家わからないし、親族の方に電話しようとも思ったんだけど、そもそも電話番号知らないし。それでとりあえずここまで運んできたわけだけど、迷惑だったかな?」


「道端に?…………!!!」


 シロはベッドから飛び起きた。

 大切な友人のことを思い出したのだ。

 

「寝てる場合じゃねェ!」


「え?もう大丈夫なのかい?もう少し休んでた方が─────」


「アオが拐われた!」




 日之道家では、カイと母親であるサラが、アオの帰りを待っていた。

 サラに言われ、カイは先に夕食を摂っていた。

 しかし、大好物であるはずのカレーが、何故か喉を通らなかった。


「アオ、遅ぇなぁ……」


「そうね。もう7時過ぎてるわ。いつもならもう帰ってきてる時間なのに」


 サラはかなり心配していた。

 カイはともかく、アオは必ず午後6時までには帰ってきており、それを過ぎるようであれば、アオから連絡が来る。

 しかし、7時を過ぎてもアオから連絡は来ない。

 それどころか電話は繋がらず、LINEのメッセージも既読にならない。


「アオ………」


 また2年前のように酷いことをされているのではないかと思い、サラは心を痛めた。

 そんなサラの様子を見て、カイも不安になった。

 その時、サラのスマホから着信音が鳴った。

 サラは急いで通話ボタンを押した。


「もしもし!アオ!?」


 カイもアオからの連絡であることに期待した。

 しかし電話は、アオからではなかった。


「………あ、……司波先生………ですか……」


 電話はアオの担任である司波からだった。

 サラは泣きそうな顔で通話を続ける。


「はい………はい………えっ!!?」


 サラの表情が、驚きと絶望が雑ざったものに変わった。

 そこからのサラは、まるで魂が抜けたようだった。

 司波との通話が終わった頃には、サラは床に崩れた。


「母ちゃん!?」


 カイはサラの元に駆け寄った。


「どうしたんだよ!?」


「カイ……」

 

 サラは涙を流していた。

 普段の優しく、それでいて冷静な母の見ない姿に、カイは呆気に取られた。

 サラはカイの胸に顔を押し当て、泣き出した。


「アオが……」


「アオに何かあったのか!?」


「アオが、……誘拐されたって…………」




 一時間後、アオ誘拐の知らせで気が滅入ったサラを寝室に連れていったカイは、一人リビングのソファーに座っていた。


「母ちゃんがああなった以上俺がしっかりしねぇと……。いや、そもそもアオが拐われたのは俺がしっかりしてなかったからだろ?何がしっかりだ………。くそっ、アオを守るんじゃなかったのかよ、俺は……」


 一人でぶつぶつ呟いていると、再び着信音が聞こえた。

 サラのスマホからだった。

 床に落ちたのをテーブルに置いたままだった。

 カイはスマホを取り、通話ボタンを押した。


「もしもし?」


「カイか?」


「………父ちゃん?」


 電話はカイとアオの父、ガレンのものだった。

 ガレンは警察署に勤めており、特務課という部署に所属している。

 カイはよく解っていないが、主に怪事件を担当しているのだという。


「父ちゃん、アオが誘拐されたって………」


「あぁ、聞いた。サラはどうしてる?」


「寝かせた。顔覆って泣きながらアオの名前呼んでて……」


「そうか……」


「………父ちゃん、俺のせいだ」


「何?」


「俺がしっかりしてねぇから、アオが、……またあの時みたいになってるかもしれねぇ……」


 カイの目から、自然と涙が溢れ出した。

 自責の念で、今でも押し潰れそうだった。

 カイの嗚咽を電話越しで聞くガレンは、クスリと笑った。


「いつぶりだろうな。お前が泣くのは」


「え?」


「カイ、今は思いっ切り泣いとけ。ただし、アオが帰ってきたら笑顔で迎えろ」


「笑顔?」


「得意だろ?アオはなぁ、俺達の笑顔が好きなんだ。夕飯の時楽しそうに喋って食うお前を眺めるのが好きなんだよ。アオは傷ついて帰ってくるだろう。そんな時、笑顔で出迎えるのがお前だろ?2年前の件の後、アオが学校行けるまで回復したのは、お前がいたからだぞ」


「俺が………?」


「あぁ。お前はアオのためによくやってるよ。だから元気出せ!」


「あ、あぁ!」


 カイは涙を拭い、力強く返事をした。


「いい返事だ!俺もなんとかアオの捜索に加えてもらえることになった。アオのことは俺達に任せろ。下手に手を出すなよ?……って言っても無駄だろうな」


「おうっ!」


「おいおい……。……とりあえず明日ウチの連中が学校に取り調べに行くから、そこんとこよろしくな。それと、サラのことよろしく頼むぞ!」


「わかった!」


「それじゃあな。何かあったら連絡くれ」


 ガレンはそう言うと、通話を終了した。

 カイはソファーから立ち、自分の両頬を叩き、気合いを入れ直した。

キャラ紹介


サラ


本名 日之道 沙良 (ひのみち さら)

性別 女

誕生日 3月6日

趣味 読書、服のデザイン

好物 ぶどう


カイとアオの母。

衣服を作る仕事に就いている。

優しく、冷静で、ミステリアスな雰囲気を放っているが、我が子が危険に侵されると、酷く取り乱してしまう。

自身が作った服をよくアオに試着させている。


ガレン


本名 日之道 雅蓮 (ひのみち がれん)

性別 男

誕生日 10月10日

趣味 スポーツ全般

好物 肉全般


カイとアオの父。

警察署の特務課に所属している。

明るく大雑把で、周りからの信頼は厚い。

仕事の関係で、帰ってくるのが夜遅く。

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