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待ちに待った休憩時間です。
お仕事頑張ったよ。いつもの3倍の料理の下拵えして肩こったよ。ベットメイキング不要なお客様が多くて助かった。
頑張った自分に御褒美。
購入できましたよ、ノウレンのカステラ。
おいしいよ。頬っぺた落ちそうで慌てて抑えたよ。フワフワシットリで甘さは控えめなんだけど卵と牛乳のコクで味はしっかり、なのにしつこく無い。一口大のベビーカステラタイプで一つ一つ幸せを噛み締めて頂いてます。
喉が乾きにくいのもお気に入りポイントなんです。でもブラックコーヒーやストレートティーとよく合う。
しかし、今日はカステラと一緒に販売されていた牛乳がお供にです。
合わないわけがない。今朝絞ったばっかりの取れたて牛乳とか美味しくない訳がない。
美城と誉高いライラプス城を観賞しながらのノウレンカステラなんて、贅沢の極みです。仕事頑張って良かった。
「おねえちゃん、花輪どうぞ。」
7・8才くらいの花子の男の子が花輪を差し出してくれた。
輪が小さくて首にかけれそうにないな。
「ありがとう、お姉ちゃんの頭に乗せてもらっていいかな。」
「うん、いいよ。はい。」
「ありがとう。お礼にカステラどうぞ。」
「わぁ、ありがとうお姉ちゃん。」
たまたま持ってた袋にカステラを分けて渡すと、満面の笑みで喜んでくれた。
可愛いよ。子供は皆天使だよ。シッポが千切れそうなくらいブンブンしてますよ。可愛すぎて鼻血出そうだよ。意地でも出さないけど。
貰った花輪もガーベラに似たピンクの花で可愛いしいい匂い。
花祭りで貰える花輪を持ってると、神様のご加護があると言われる縁起物で皆祭りの後もドライフラワーにして家に飾っているらしい。
毎年配る側だったから貰うのは初めてだ。宿の女将さんに綺麗なドライフラワーにする方法教えてもらわなくっちゃ。
それにしても、さっきからやけに騒がしいな。
お祭りなんだから当たり前か。出し物でもしてるのかな?
「おい、オルガ王子がこられてるぞ。」
「まじか!!毎年城の晩餐会にしか出てこないはずだろ!?」
「何かを探してるみたいだったぞ。よほど大切なモノなのか必死な顔してたな。」
オルガ王子といえば第一王子、王太子様だね。
そんな人が祭りに来てればそりゃ騒ぎにもなるな。
どうりでさっきから年頃の娘が騒ぎの方にかけて行く姿を見かける訳だ。見初められでもしたら特大玉の輿だもんね。
あれ?『玉の輿』の語源ってお玉って村娘が将軍に輿入れしたことから来てたはずだから、特大いらない?まぁいっか。
因みに私は玉の輿に興味が無い。
身に合って無い大金は破滅を呼びかねないし、性格を歪みかねない。
ましてや次期王妃なんて公務やらなんやらで窮屈な思いが多そうだし、マナーとかめんどくさい。
干物女子上等。結婚なんてしてもしなくても幸せな人は幸せないんだ。
私は美味しいご飯とモフモフがあれば幸せだし。
お、人混みの間からオルガ様見えたよ。
信じられないくらい美形だな、王様ソックリだよ。
青みがかった黒髪と金の瞳がより人間離れした美しさを際立てている。
騎士団の指揮を取るたけあって服の上からでも鍛えられているのがわかるけど筋肉が付きすぎてることもなくギリシャの彫刻も真っ青なスタイル。この世界の人の中でも長身なんだろう、2m前後はありそうだ。
こんな美形が王子とか神さま不公平だよ。あ、神さま エールさんだった。
あれ?
気のせいかな?
王子と目が合ってる?
めっちゃビックリした顔されてるけどなんで?
私何かしたかな?
座ってるのがいけなかった?
待って、不敬罪で囚われたりしないよね!?
って王子こっちに向かって走って来てるんだけど!!
めっちゃ目合ってるんだけど!!
何これ?逃げた方がいいの!?
逃げたら不敬罪になるの!?
そうすればいいの!!??
「見つけた、俺の番。」
・・・えっと、何これ??
私今、王子様に強く強く抱きしめられております。
強すぎて体ミシミシ言ってます。
王子の体に顔面押し付けられて息できません。
気絶しても良いですか?良いですよね?
おやすみなさい。